短篇=計画、目標、願望の羅列
2015年10月2日
安倍首相の張り切ぶりには目を見張るものあります。日本は強力なリーダーに恵まれず、政治的にも経済的にも国際的にも、20年以上、低迷を続けてきました。
首相は日本の改革に向け、強い意欲はお持ちのようです。問題はあまりにも、たくさんの課題、目標を掲げるので、何が実現可能なのか、何がビジョンにすぎないのか、何が政治的なゼスチャーのか、国民が判別できなくなっているのです。
作文、売り込みに飛びつく
ご自身が執念を持っている目標、官僚が作文したすぎない計画、側近らしい周囲が売り込んできたような構想がごちゃまぜになっているようにみえます。この国は、夢遊病状態に陥っているような気がします。
脳が眠っているのに、体は起きだし、手足(様々な構想)が勝手に動いているのではないでしょうか。夢遊病とは首相のことをいっているのではありません。国の状態をいっているのです。課題、計画、目標を整理し、羅列しないで焦点を絞らねばなりません。
首相は国連総会の出席のため訪れたニューヨークで講演し、「1にも2にも3に、わたしにとって最大のチャレンジは経済、経済、経済だ」と述べました。「安保法制の大転換」が先月まで、首相の最優先課題でした。
もう経済へ大転換か、と驚く
これからも国民に丁寧な説明が必要だと、首相本人もいいます。防衛予算の編成、新法の肉付け、同盟国との調整はこれからです。いまだに反対が賛成を上回る状況から国民の目をそらしたいという思惑でしょうか。もう安保から経済へ、ですか。
「国民総生産600兆円」ついて、「名目3%成長を続ければ20年に可能」とニューヨークで首相は語りました。過去20年間、一度もなかった3%成長を今後、数年、続けるにはどうするのかの説明がありません。首相の口からでなく、なんとか経済会議などが試算すればいいのです。「岸首相の60年安保」から「池田首相の所得倍増計画」への転換をだれかが助言し、飛びついたのでしょうか。
「アベノミクスには厳しい見方が増えている」、「国際的にはもう注目されていない」と、評価が様変わりなので目先を変えたかったのでしょうか。「新3本の矢」には「国の重い債務問題(国債発行)のほうはどうするのか」という指摘が突きつけられています。「新3本」はネーミングの上滑りです。
日ロ首相会談は「領土交渉の前進へ対話継続」ということなりました。その直後、ロシアがシリアを空爆し、米ロ関係がまた悪化し、日ロ接近に米国が反発しています。首相は政治的な願望を掲げることが国内的に有利という思惑でしょうか。もっと緻密にタイミングを計算すべきですね。
メディアはニュース価値の判別を
首相の唱える国連安保理の改革(日本の常任理事国入り)は必要なことです。どのような手順と見通しでそれを実現していくのか。とにかく次々と矢継ぎ早に、首相が重要な課題を取り出し、それを新聞が一面トップでかでかと、報道します。メディアは広告会社とは違うのですから、できること、困難なことをよく判別し、扱いの大きさを変える必要がありますね。
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