真実の告白を、楽になる
2014年7月6日
何でこんなに残酷なことを30歳の女性研究者に強いるのだろうか。何で上司の副センター長は処分を待たずに、潔く自発的に辞職しないのだろうか。何で理化学研究所はおろおろするばかりで、対応が遅く、非常識な手ばかり打つのだろうか。
STAP細胞の有無をめぐる研究不祥事は、これまで3回、このブログで取り上げました。「本人に再現実験を求める」(3月15日)、「実在検証が遅すぎる」(4月2日)、「犯罪的行為ではないのか」(6月5日)です。わたしはSTAP細胞についてはしろうとです。企業や政界の不祥事の後始末については、関心がありますので、STAP細胞問題はこうした視点で取り上げてきました。「犯罪的行為」とまで指摘したときは、これ以上は書くことはないだろうと思っていました。
先週7月2日、女性研究員が単独で検証実験をすることになり、理研に出勤した時の様子をテレビ映像で拝見していましたら、「あまりにもむごい。理研はなんでこんな拷問みたいな仕打ちをするのか」という気持ちをどうしても抑えることができなくなりました。
これまで指摘された数々の疑惑、論文撤回を理由に、理研は「理研としてはSTAP細胞が存在する証拠は存在しないとの結論に達した。本人がどう行動するか、これ以上、関知しない」と、発表すればいいのです。もうだれもこの細胞があると、思っていないのです。本人もそうでしょう。本人は博士過程から始まったであろう、無数の不正研究、論文の捏造を今は恐らく後悔し、精神的不調に陥っているようです。精神科医か精神カウンセラーが相談にのり、彼女の苦悩を解き、事実の告白に導く宗教的行為が最も必要とされているのでしょう。本人は心の中で、迷いに迷っているでしょうね。もうろうとして、正常な判断能力を失っている可能性が高いと思われます。
理研はむごい、これでは拷問だと、思ったのは、実験の透明性を確保するという名目で講じることになった措置を知ってからです。「入退室を電子カードで管理する」のは、これは当然で問題はないでしょう。「理研が指名する外部研究者が実験に立ち会う」のも、必要なことでしょう。「実験室をカメラ3台で24時間監視する」はどうでしょう。まるで犯罪者を独房に入れて、監視するようなものではありませんか。「細胞の培養機器に鍵をかける」にいったては、不正行為をするに違いないというのが前提になっているのでしょうね。
目的はなんでしょうか。「ここまで厳重な監視のもとで、実験をやらせれば、本人は音を上げるだろう」という筋立てでしょう。最後は、「自分は不正をしていました。新細胞は存在しません。途中で別の万能細胞であるES細胞を混入させました」といわせ、「新細胞の正体はES細胞だ」との結論を導きたいのでしょうね。理研の対応があまりにも遅く、拙劣でしたから、こんな拷問まがいの手法にたどりつくしかなかったのでしょうか。残酷です。
彼女以上に責任が重いのは、直属の上司である副センター長の笹井芳樹氏(52)でしょうね。これまで報じられた記事を読みますと、「36歳で京大医学部の教授に就任したエリート。万能細胞のひとつであるES細胞で次々に成果をあげた。再生医療研究の先頭を走ってきた。06年に山中伸弥・京大教授(51)がiPS細胞の作製に成功して、ノーベル賞を受賞。立場は逆転した」ということになります。科学者の世界に渦巻く競争意識、嫉妬心があるようですね。その逆転をSTAP細胞にかけているうちに、功をあせり、不都合なことが目に入らなくなったのでしょう。この世界に限らず、ありがちなことです。
理研の体質改革、不正研究が起きた経緯の解明、再発防止策などについて、外部委員会が6月に提言を発表し、笹井氏を含む4人の辞任を促しました。笹井氏は「理研の処分に従う」といっています。ここまで糾弾されれば、普通なら、名指しされた人たちは、処分の決定を待たずに、自発的に辞任すべきでした。その際、「新細胞が存在する証拠はやはりなかった」との声明でも読み上げるべきだったでしょう。笹井氏は能力が高い科学者のようですから、辞職後、新しい職場を求め、名誉挽回を目指せばいいのです。
目はうつろ、夢遊病者のような女性研究者の姿は見るに見かねます。はじめはこの人物がもっとも問題であるように思いました。どうやら彼女は犠牲者だったようですね。上司が反省し、早く辞職していれば、彼女はもっと早く真実を語る心境になり、こんなに苦しまなくてもすんでいるのかもしれません。
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