4月1日から、年収1,075万円以上の専門職に対して時間ではなく成果に対して賃金を払う「ホワイトカラー・エグゼンプション」が始まります。2015年は、これからの働き方に大きな変化をもたらす、まさにターニングポイントの年です。
厚生労働省の労働政策審議会分科会では、経営側の委員が年収要件の引き下げについてすでに言及しています。制度が始まれば、年収要件が下がり対象が拡大していくことは確実です。
時間でなく成果に賃金を払う制度が確立されれば、能力のある人にとっては大変ありがたい状況になります。成果物をきちんと生み出しさえすれば働く時間は自由になりますから、早めに仕事を切り上げてスポーツや趣味に充てる時間が増えるでしょう。そうしたリフレッシュによって仕事の質が上がれば、一石二鳥です。
一方、仕事の遅い人にとっては辛い状況です。納期までに成果物を仕上げるためには、休日や深夜まで働かなければならないでしょう。肉体的、精神的にも疲労が蓄積し、負のスパイラルに陥るかもしれません。
では、マイナスの影響を受ける人はどうすればよいのでしょうか。
答えは、単純に「自己の能力を高めること」です。専門知識やスキルをつけて、効率的な仕事の進め方を学べばよいということになります。
ただしこれはそう簡単ではありません。なぜなら、人間の能力にはバラツキがあるからです。能力の差が埋まらないままでは、ますます上位と下位の差が広がっていきます。
その結果、社会が不安定になる可能性も排除できません。たとえば、犯罪が増えたりすれば社会的コスト(税金で賄います)は増大します。
社会が不安定になる前に「先手」を打つ方法はないものでしょうか。
そのための有効な手段のひとつに、教育があります。年齢や地域に関係なく、いつでも知識やスキルを身につけることができる仕組みを今から作っておくことが有効な「先手」になります。対症療法ではなく予防医学と同じ発想です。
とは言え、どのような分野、どのような仕組みに税金を投じればよいのかは議論の分かれるところです。
しかし、大きな流れを前にして立ち止まっていては遅れをとるばかりです。走りながら考えるしかありません。
微力ではありますが、弊社も走りながら考え、発信していこうと思います。
(人材育成社)