今日も神奈川県は日中、25℃に達する夏日となりました。こういう時には、涼しい我が家でアイスを食べるに限ります(ただの自堕落ちゃねぇか…)。
今日は小学校勤務はありませんでしたが、その分自宅でデスクワークに勤しんでいました。その時にいろいろとBGMをかけていたのですが、主に先月フリーマーケットで買ってきたLPレコードをかけていました。
いくつか聴いていたのですが、その中でも印象的だったのが
ジャン=ピエール・ランパルのフルートとリリー・ラスキーヌのハープ、ジャン=フランソワ・パイヤール指揮、パイヤール室内管弦楽団という20世紀の名演奏家たちの共演によるモーツァルトの《フルートとハープのための協奏曲 ハ長調 K.299》でした。
《フルートとハープのための協奏曲 ハ長調 K. 299》は、モーツァルトが1778年に作曲した作品です。モーツァルトがフランスに滞在していた時に家庭教師をしていたド・ギーヌ侯爵の家で、その令嬢の結婚式で演奏するために侯爵からの依頼で作曲されました。
令嬢はハープを演奏し、侯爵もフルートの愛好家であったことから、オーケストラをバックに父娘が各々の楽器のソリストとなって演奏するという条件のもと作曲されました。ただ、実際に令嬢の結婚式で演奏されたかどうかはモーツァルトの日記を含め記録は残っていません。
フルートとハープという音色のかけ離れた楽器の組み合わせはそれまでに前例が無いだけでなく、そもそもハープ協奏曲の名作が数少ないこともあって、しばしばハープ奏者の力量を証明するために演奏されることが多いようです。
様々な協奏曲の各楽章終結部近くにあるカデンツァは本来演奏者の即興に委ねられるべきものですが、この曲はアマチュア音楽家の依頼で作曲されたため、3つの楽章すべてに置かれているカデンツァにはモーツァルト自身によるものがあったとされています。しかし、残念ながらこれらのカデンツァ楽譜は消失してしまっているため、現在ではドイツの作曲家カール・ライネッケ(1824〜1910)の手によるものが使用されています。
この録音では第1楽章と第3楽章はライネッケのカデンツァが使われていますが、第2楽章のカデンツァはハープのラスキーヌが書いたものが使われています。ハープの名手として知られたラスキーヌのものらしくハープの華麗な技巧が遺憾なく発揮されたもので、ライブではなかなか聴けませんが、腕に覚えのあるハーピストには是非演奏してほしいものです。
因みに、このLPレコードは『コロムビア・デラックス・シリーズ』というもので、解説書の続きには
なんとフルスコアがついています。これもLPレコードのサイズ感ならではの付録と言えるのではないでしょうか。
そんなわけで、今日はランパル、ラスキーヌ、パイヤールの共演によるモーツァルトの名曲の演奏をお楽しみいただきたいと思います。いずれ劣らぬ名手たちによる、典雅できらびやかなモーツァルトの音楽を御堪能ください。