今日は午後からものすごい大雨が降ってきました。だからといって打ち水効果を発揮したわけではなく、かえって蒸し暑さを助長しただけの不快な陽気となったのでした…。
ところで、今日8月13日はグスタフ・ランゲの誕生日です。

グスタフ・ランゲ(1830〜1889)は、ドイツの作曲家・ピアニストです。
『…誰?』
と思われる方も多いかと思います。しかし、ピアノ教室に通っていて中級クラスまでいったような方にとっては、避けて通れない作曲家のひとりです。
ランゲは1830年8月13日、プロイセン王国ザクセン州エアフルト近郊のシュヴェルシュテットで生まれました。成人後はベルリンを中心に演奏活動を展開し、ピアノ教師としても名を馳せました。
ランゲは生前、400曲以上の軽やかで優雅なピアノ小品を書きましたが、これらのピアノ小品は比較的演奏も簡易であったため、ヨーロッパの上流家庭を中心に当時大変流行しました。《エーデルワイス Edelweiß》作品31(サウンド・オブ・ミュージックの歌とは違う曲です)、《荒野のバラ Heidenröslein》作品78、《アルプスの山小屋にて In der Alpenhütte》作品240などは、今なお日本でも愛奏されています。
ここまで聞いても『?』な方でも、《花の歌》と聞けば『!』となる方も多いのではないでしょうか。
《花の歌 Blumenlied》作品39は、ランゲのピアノ作品を代表する一曲です。失礼を承知で言うならば、ランゲの名はこの一曲で後世に残っているといってもいいかも知れません。

誰しもが一度は何処かで聴いたことがあるメロディは実に愛らしく、文字通り『歌』を感じさせるものです。このメロディを挟んで違うメロディが二度登場しますが、はじめは少し焦燥感を含んだニ短調、二度目はオクターブが華やかな変ロ長調と全く毛色が違う音楽のため、シンプルな曲調ながらも聴くものを飽きさせません。
こうした点がピアノ習得者に人気なようで、発表会では必ず一人はこの曲を演奏する子がいるくらいです。可愛らしいメロディの曲ですが、それでも演奏するとなるとオクターブがあちこちにあるため、特に手の小さい人は苦労させられる曲でもあります。
そんなわけで、グスタフ・ランゲの誕生日である今日は、彼の代表作《花の歌》をお聴きいただきたいと思います。ハンガリー出身のピアニスト、イェネ・ヤンドーの演奏で、ランゲの名を広く後世に残すことになった愛らしい小品をお楽しみください。