
小学校での仕事に従事して1ヶ月半、早朝の小田急線の駅に通って電車に乗り込むことも、すっかりルーティーンが出来てきました。およそ4月5月に仕事が無いとウダウダしていたのと同一人物とは、自分でもとても思えません(汗)。
さて、最近小田急ではAIによるアナウンスだけでなく、プラットホームの駅員や車掌も日本語と英語とでアナウンスをするようになりました。恐らく今年開催予定だった東京五輪と、昨今ジワジワと増えてきた外国人利用者のために行われているのでしょうが、実はこれがかなりのカタカナ発音の英語アナウンスで、傍で聞いていると結構ズッコケるのです。
例えばドアが閉まることを知らせるための
「The door is closing.」
にしても、大概の場合
「ざ どあー いず くろーぢんぐ。」
みたいに平べったく聞こえてしまってガクッとさせられることが多いのです。折角外国人利用者に氣を使って英語でアナウンスしても、こんな発音で果たして伝わっているのかどうか疑問に思えてしまいます。
以前、そのことを知人の英国人に聞いてみたところ
「どうせカタカナ英語しか出来ないのなら、せめて『ダ ドー イズ クロウズィン』とか言ってくれればまだそれっぽく聞こえるのにね。」
という答えが返って来ました。
聞くところによると、彼らはdoorのrやclosingのgは殆ど発音していないというのです。また小さな子どもがまだ『th』の発音が覚束ない時には例えば『the』なら『ダ』とか『ディ』とか発音させるのだそうで、キチンと舌を使った発音が無理ならそうすれば『ぽくなる』とも言っていました。
ちょっと話が逸れますが、私が通っていた音楽大学では毎年年末にヘンデルの《メサイア》の公演をしていました。それで、入学時には合唱の授業が必修科目で、声楽科の学生のみならずピアノや楽器の学生も授業に参加して歌っていました。
《メサイア》の歌詞は全編英語です。それで実際に歌ってみると分かるのですが、ああいったクラシカルな作品での英語の歌詞というものはなかなか歌い辛いものがあるのです。
その合唱の授業で担当講師に言われたのが、
「歌詞の『the』の発音が難しければ、『ダ』や『ディ』といった幼児英語的な発音をすると歌いやすい。」
ということでした。実際に歌ってみると、それまでの歌い辛さがかなり解消されて苦にならずに歌うことが出来るようになったことを今でも覚えています。
話を戻しますが、どのみちカタカナ英語の発音になってしまうのなら、いっそのことそうしたアプローチがあっても良さそうな氣がしてなりません。奇しくも1年日延べになった東京五輪に向けてまだ時間がありますから、この機会に是非とも再考して頂きたいと思う今日この頃です。