今日は3月3日、ひな祭りです。しかし、神奈川県ではあちこちで雪が降り、かなり冷え込んだひな祭りとなりました。
ところで、今日3月3日はオペラ《カルメン》が初演された日です。
オペラ《カルメン》はプロスペル・メリメ(1803〜1870)の小説『カルメン』を元にアンリ・メイヤック(1831〜1897)とリュドヴィク・アレヴィ(1834〜1908)が台本を作り、
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ジョルジュ・ビゼー(1838〜1875)が作曲した4幕もののオペラです。オペラと呼ばれてはいますが、音楽(歌)の間をメロディのない台詞でつないでいくオペラ・コミック様式で書かれています。
1875年3月3日に行われたパリのオペラ=コミック座での初演は不評でしたが、その後の客入りと評判は決して悪くはありませんでした。やがてビゼーのもとには《カルメン》のウィーン公演と、そのために台詞をレチタティーヴォに改めたグランド・オペラ版への改作が依頼されました。
この契約を受けたビゼーでしたが、持病の慢性扁桃炎による体調不良から静養中の6月4日、心臓発作を起こして急死してしまいました。そこで友人である作曲家エルネスト・ギローが改作を担当してウィーン上演にこぎつけ、それ以降フランス・オペラの代表作として世界的な人気作品となっていきました。
物語の舞台がスペインであるため、日本では登場人物の役名の「José」をスペイン語読みで「ホセ」と書き表しますが、実際はフランス語読みで「ジョゼ」と発音して歌われています。音楽もハバネラやセギディーリャなど、スペインの民族音楽を取り入れて作曲されています。
合間が台詞のためダイジェスト版も作りやすく、アマチュアオペラ公演でも取り上げられることの多い作品です。また、各幕の前奏曲やハバネラ、闘牛士の歌など名旋律を連ねた歌のない管弦楽組曲も編まれて、オペラとは別にコンサートでよく演奏されています。
そんな《カルメン》の中から、今回は『ジプシーの歌』をご紹介しようと思います。
第1幕の最後でホセをたぶらかしてまんまと監獄行きから逃げおおせたカルメンがリリア・バスティアの酒場で仲間たちと歌い出し、その歌は酒や場の雰囲気によって徐々に熱を帯びていきます。この場面ではバレエやフラメンコのダンサーが登場し、終幕の闘牛場の場面とならぶ華やかな場面となっています。
そんなわけで、今日はビゼーの歌劇《カルメン》から第2幕幕開けの音楽『ジプシーの歌』をお聴きいただきたいと思います。アグネス・バルツァのカルメン、ジェームス・レヴァイン指揮によるメトロポリタン歌劇場での公演で、エキゾチックなメロディが高揚していく名旋律をお楽しみください。