共 結 来 縁 ~ あるヴァイオリン&ヴィオラ講師の戯言 ~

山川異域、風月同天、寄諸仏子、共結来縁…山川の域異れど、風月は同天にあり、諸仏の縁に寄りたる者、来たれる縁を共に結ばむ

魅力的な小品《星笛》

2024年07月20日 17時55分45秒 | 音楽
昨日小学校が終わって、今日から夏休みに入りました。そのタイミングで神奈川県は凄まじい猛暑となり、マックスでエアコンを入れていないと具合が悪くなりそうです。

夏休み中、子どもたちには様々な宿題が出されていますが、その中にリコーダーの練習も出されています。5年生に出されている課題は《星笛》というデュエット曲なのですが、これがなかなかいい曲なのです。

《星笛》の楽譜は



こんな感じで、#も♭も全く無いので技術的にはかなり平易です。演奏してみると分かるのですが、郷愁を誘うような切々としたメロディが印象的な作品です。

こうした印象を受ける要因を専門的に分析すると、この曲が教会旋法のエオリア旋法で書かれていることにあります。エオリア旋法とは、



ラからラまでをピアノの白鍵のみで辿る音階のことをいい、自然的短音階とも言います。

この短音階は全ての音に何の記号も付いていないので、より素朴でフワリとした響きがします。それが優しい印象を演出していて、実に愛らしい作品です。

一方で、この曲は8分の6拍子という難しい拍子で書かれています。この拍子は文字通り



一小節の中に8分音符が6つ入っているものなのですが、それらを3つで一塊と捉えて



というリズムで演奏することになります。なので、楽譜の見た目や聴いた感じは3拍子っぽいのですが、演奏する際には



というように2拍子に感じて演奏しないとさまにならないのです。

さて、こうした感じ方をどうやって子どもたちに伝えていくのか…実に難しいポイントです。実際に指導するのは学校の先生ですから私が出しゃばっていくことはないと思いますが、何か聞かれた時にはアドバイスくらいできるようにしておこうと思います。

そんなわけで、今日は小学5年生の音楽の教科書に掲載されている《星笛》をお聴きいただきたいと思います。実は教会旋法などいろいろな魅力的要素が隠されている、何とも愛らしい作品をお楽しみください。



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