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熱い胸中

 松井秀喜が帰国前に毎日新聞の単独インタビューに応じた記事が、23日の朝刊に載っていた。今年の松井を振り返り、来年にかける松井の熱い胸中を知るにはファン必読の内容だと思うので以下に再録してみる。

>>左手首の負傷は選手生命にかかわるものだったと思うが。
 (病院に運ばれた後に)看護師さんが簡単にハサミでユニホームを切るんで、切なかった(笑い)。確かに手首はバットを微妙なところでコントロールする重要なところ。手首の返しが早いかどうかで、ゴロになったり、フライになったり、ライナーになったり、打球の軌道も左右される。ただ僕は過程については、あれ大丈夫かなと細かく一つ一つチェックするけど、ゴールについては楽観的。時間がたてば、元に戻ると思っていた。ただし今でも微妙な違和感は残っている。大手術してメスを入れたんだから、それはしようがない。

 >>復帰戦の4安打を含めて、復帰後は19試合で3割9分6厘、3本塁打、10打点。股を割って構え、重心も以前より低くなった新しい打撃フォームで、来季への手ごたえをつかんだのでは。
 けがしたから、しようがないな、とは言われたくなかった。今まで以上のプレーヤーになって戻ってきたかった。(欠場している)4カ月の間に、例えば体重移動のことを考えているうちに、ああいうふうになった。バランスだとか、体重移動は永遠のテーマ。感覚だけでバーンといくのではなく、打ちにいくまで、いかに頭が体の動きをすべてコントロールできるか。それがうまくいけば、ボールを見る間ができるし、間ができれば、ボールを見極められて、確率よくシンに当てられる。

 >>地区シリーズでタイガースに敗れ、今季もワールドシリーズ制覇はお預けとなった。
 ちょっとあっけなかったですね。気持ちの準備の部分で、勝てるだろう、と思っちゃったところに大きな落とし穴があった。挑戦者の気持ちで来ているチームは、勢いに乗り出すと、強い。我々はそれに対して、踏ん張れなかった。

>>08年に北京五輪、09年には第2回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)が行われる。出場するか否かは別にして、自分の中での位置づけを教えてほしい。
 WBCは経験したことないから、位置づけできない。五輪もそう。ヤンキースでチャンピオンになること、それが100(%)。あとはゼロに等しい。ヤンキースでは毎年負けて終わっている。(3月の第1回WBC欠場は)悔いはない。日本も勝ったし、ぼくにとっては一番いい終わり方だった(笑い)。巨人からヤンキースへ来たときと同じで、批判が出ることは予想していた。でも何よりも大事なのは、自分の気持ちに正直になることだった。

 >>レッドソックス入りが確実な松坂とは、02年日本シリーズで対戦している。印象は。
 やっぱりスライダー。速くて曲がりが大きい。(今季ア・リーグ最多の47セーブを記録した)エンゼルスのフランシスコ・ロドリゲスみたいなスライダー。日本シリーズで僕は打ってない。ほかの選手はみんな打ってたけど(笑い)。警戒してるというのは伝わってきた。ヤンキースとレッドソックスという歴史のあるライバル関係の中で対決できるのは、僕にとっては興奮すること。彼にとっても、その中で投げられることはかなり幸せ。選ばれた人しかできないことですから。

  これほどコンパクトにまとめられたインタビューも珍しいと思う。短いながらも、今年の松井を象徴する、WBC、左手首の骨折、復帰後の大活躍、地区シリーズ敗退を松井自身が自分の言葉で総括したものを読めたのは大変嬉しかった。そして、松井が松坂との対決を心待ちにしているのが節々に感じられる現在の心境を語ってくれたのにも感激した。行き詰るような一球一球の対決が、早くも目に浮かんでくるような気がしてくる。 もう冬なんて来なくていいから、球春よ、少しでも早くやって来い!!そんな気持ちにさせられた素晴らしいインタビューだった。

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