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Imagine

 ジョン・レノンの「Imagine」を、新井満が訳した「自由訳 イマジン」(朝日新聞社)という本が出版されている。私はまだ手に取ったことはないのだが、先日NHKラジオで、新井満が「Imagine」をバックミュージックにして、自らの訳詩を読み上げていたのを聞いた時に、その本の存在を知った。別の本の中に入っていた朝日新聞の出版パンフレットに、「世界でもっとも愛されている”平和の歌”が美しくわかりやすい日本語になりました。」とある。ラジオで聞いたときは、途中から耳にしただけなので、全体的な印象ははっきりしなかったが、分かりやすい日本語に訳されているというのは確かだと思った。書店で一日も早く見つけたいと思ってはいるが、私の行きつけの書店にはまだない。
 「Imagine」は、1971年に発表されたから、もう35年も前の曲である。誰でも一度は耳にしたことがあるだろうし、その詞の内容も理解されているだろうと思う。私も数えられないくらい聞いたことがあるが、この曲は世界平和を願うジョン・レノンの、祈りにも似た「平和の歌」であり、聞くたびに思わず背筋をピンと伸ばしてしまう。ジョン・レノンは凶弾に倒れたが、その遺志は世界中にいる彼のファンの中に行き続けていることだろう。

 2001年アメリカで起こった9・11の同時多発テロの数日後、N・Yタイムズに、
    Imagine all the people living life in peace.
というメッセージが書かれた広告が掲載された。これは「イマジン」の歌詞の一部であり、その広告主はジョンレノン夫人、オノヨーコであった。あの全米を揺るがしたテロの直後に、こうしたメッセージを発信すること自体すごいことであるが、あの時にはどれだけの人が彼女の心を理解しただろう。結果として、アメリカはテロへの報復からイラク戦争にまで突っ走ってしまったが、オノヨーコの行為は決して無駄ではなかったと思う。真に平和を願うならば、どんな状況であっても意思表示をし続けることの大切さを教えてくれる行為であったと私は信じている。

 昨今の世界状況を鑑みると、「Imagine」が発表された時よりも良くなったとは思えない。じわじわと終末に近づいているのでは、などと考えたくもないことを思ってしまう。だからこそ、私も新井満にならって、平和を願いながら、ここで自分なりの「Imagine」訳を試みてみたいと思う。あくまでも「自由訳」ということで、多少の誤訳は大目に見てもらうことにして。

   「イマジン」
 思い描いてみて、天国なんてないって
 やってみれば簡単さ
 足元に地獄なんかもありゃしない
 僕たちの上には空があるだけ
 誰もが、今日のために生きてるって
 思い描いて・・

 思い描いてみて、国なんてないって
 そんなに難しいことじゃないさ
 そのために殺したり死んだりするものなんてない
 宗教も同じさ
 誰もが平和な暮らしをしてるって
 思い描いて・・

 あなたは僕が夢を見てるって言うかもしれないけど
 僕は一人じゃないよ
 いつかあなたも僕らと一緒になって
 世界がひとつになれたらいいな

 思い描いてみて、財産なんてないって
 あなたにできるかな
 欲張ることやお腹をすかせる必要なんてない
 人はみな兄弟なんだ
 誰もが世界を分け合ってるって
 思い描いて・・

 あなたは僕が夢を見てるって言うかもしれないけど
 僕は一人じゃないよ
 いつかあなたも僕らと一緒になって
 世界がひとつになれたらいいな
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