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1月2日

 本当に穏やかな日だった。我が家は、毎年2日の朝には自然薯をすってとろろを食べることになっている。私が朝目覚めると、もう父が一人であらかた作り終えていた。妻の母も一緒に食べることになっているので、私が車で迎えに行った。

 

 花好きの義母だけあって、庭には丹精込めた椿の鉢がたくさんあった。正月の清清しい気持ちと椿の花はよく合う。思わず携帯で写真を撮ったが、よく見ると蝋梅も庭の片隅で1つ2つと花弁を開いていた。
「ずっと暖かかったから花が開くのが遅かったねえ。毎年お正月前に咲くのに今年はまだこれだけ・・。蝋梅っていうのは「事始め」の花だから、もうちょっと早く咲いておいて欲しいねえ」
とか、相変わらず薀蓄を披露してくれる。面白い婆さんだ。
 家に着くと娘や息子を起こして朝餉が始まった。今年初めて食べるとろろは、父が早朝から時間をかけて丁寧にすったお陰で、「丸い」口当たりがしておいしかった。食べ終えて、縁側から空を眺めていると穏やかな日差しが差し込んできて、ぽかぽかとあったかい気持ちになった。


 こんな気持ちのまま日本酒でも飲めたら別天地に遊べただろうが、残念なことに昼から塾がある。いくらなんでも酒を飲んで授業をするわけにはいかないから、我慢した。だが、久しぶりに長閑な気分を味わえた、これこそ正月だ。

 塾が終わると、母の実家で行われる新年恒例のお年玉交換会に行った。今年は旅行に行った者が多く、集まった数は例年より少なかったが、それでも小さな子供たちを合わせれば総勢30人ほどにはなった。毎年2日に集まって近況を確かめ合うのはいいものだ。できればこの集まりがずっと続いてほしいものだが、だんだんと家庭の事情で集まる数が少なくなってきているのは寂しい。
 その後は父の主催で私の妹弟家族を集めた食事会が開かれた。少々大袈裟なことを言えば、2日は分刻みで行動が決まっている。最近とみにせっかちになってきた父のご機嫌を損ねないよう、きっちり予定通りに動かねばならないからちょっと面倒くさい。一年に一回父が大盤振る舞いしてくれるのだから、文句など言ってられないし、好々爺然とした父を見られるのも嬉しいから、皆粛々と行動することになっている。



 はしゃぐ甥っ子を携帯のムービーで撮ってみたが、動きが速すぎてモザイクがかかったようになっているのがおかしい。元気な奴だ、これからどんな男になっていくのだろう、楽しみだ。

 楽しいひと時を過ごして家に帰った後は、子供たちと久しぶりに「七ならべ」をして遊んだ。相変わらず娘が妙な強さを発揮して、息子は毎回早いうちに負けた。ただ一度息子が勝ったのに大喜びをしていたが、もうちょっと戦術というものを理解したほうがいいんじゃないかと思った。まあ、まっすぐなところが長所でもあるんだろうが、この先裏道も知っておかないと損をするような気がする・・。

 ともあれ、心が休まる愉快な一日だったが、私もそろそろ通常モードに切り替えなければいけない。
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