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「クローズZERO Ⅱ」

 私の連休は3・4・5の3日間。その貴重な初日に選んだのは、「クローズZERO Ⅱ」、その選択に間違いはなかった。
 とにかく疾走感があるのがいい。映画が始まって5分もすれば、話の大筋は見えてしまう。だが、そのエンディングに向かって、登場人物が突っ走る躍動感がなんとも言えぬ爽快感を与えてくれる。小栗旬がかっこいいとか、山田孝之の存在感がすごいとか、そんなことなどどうでもいいほど、映画全体の高揚感が私を惹き付けた。息もつかせぬ展開とはまさしくこういうことを言うのか、そんな感慨さえ催させる映画だった。
 PG12に指定されているように、全編殴り合いの連続だ。殴って蹴って頭突きをして・・、役者はそれだけしかしていないようにさえ思える。だが、それだからいい。それだから見ていられる。刃物や飛び道具を使うものは、弱者として徹底的に排除される。そんな闘う男としてのプライドが漲る者たちのせめぎ合いは見ていて清々しい。思ってみれば、黒木メイサ以外に女性の主だった人物は登場しない。男ばかりだ。しかし、不思議なほど暑苦しさを感じない。どうしてだろう・・。
 見終わってから、パンフレットを買った。そんなことは初めてだが、役者がいったい誰なのか、小栗と山田以外はほとんど分からなかったからだ。芸能通の妻でさえ三浦春馬以外は分からなかった程だ。
 
 小栗旬はやっぱりカッコイイ。長身で細くてギラギラしていればかっこいいに決まっている。しかし敵に向かって跳んでいく蹴りはものすごい。あんな跳び蹴りができたらなあ・・、などと50のオヤジが羨ましく思っても仕方ないが、とにかくカッコイイ。「ムサシ」での小次郎役もなかなかのもののようだが、普段のインタビューで見せるシャイな様子などまるで感じさせない演技は、さすがだ。
 山田孝之は「鴨川ホルモー」の安倍を演じたのと同じ人物だとは思えない。どちらがこれからの彼の進む道に近いのか分からないが、演技の幅が広がってきたのは彼にとって喜ばしいことだろう。ただ、ハードボイルドを演じるには少々身長が足りない・・。
 しかし、この映画で上記の二人と引けを取らないほどの魅力を感じさせてくれたのは、小栗旬の敵役を演じた金子ノブアキだ。


 ムーディー勝山か?と思ってしまうほど風貌が似ている。1981年生まれでロックバンドRIZE、DADASのドラマーとしても知られているというが、私には何のことやらさっぱり分からない。役者として出演作もいくつかあるものの、私にはまったく知らない役者としてかなりのインパクトがあった。パンフレットの中に彼のインタビューがん載っていて、今後の活動に関して、
「欲が出ましたね。いろんなことをやりたいって思うようになったし。表現するというのは大事だしステキなことだと。(中略)本当にすべての経験が役に立ったと思うし、人生はもちろんまだまだ続くんですけど、『クローズZERO Ⅱ』は自分の中で分岐点になるんじゃないかと思います。間違いなく自分の代表作ですね」
と述べている。まだ30才にもならない男が、代表作などと言ってしまうのはどうかと思うが、それだけ思い入れの深い作品だと解釈するべきだろう。
 
 原作の漫画を読んでいない私にはこの「クローズZERO」の意味が前作からずっと分からなかった。だが、パンフレットの裏表紙に書かれた英文が何となくその意味を教えてくれた気がする。
 
 ”TO FLY HIGHER THAN EVER, NEVER LOOK BACK BEFORE YOU JUMP.
  TO BE BLACK AS CROWS, FORGET EVERYTHING AND START AGAIN FROM ZERO.
  YOU'VE GOT NOTHING Ⅱ LOSE.”
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