じゅくせんのつぶやき

日々の生活の中で感じた事をつぶやきます。

村上春樹「1Q84」

2019-05-03 19:36:39 | Weblog
★ 村上春樹さんの「1Q84」(新潮文庫)、BOOK3の後編を読んだ。文庫本にして6冊、結構な分量だった。文章としては読みやすかった。

★ 筋は単純で、それぞれ心に重荷を抱えている小学生の男女がお互いに魅かれながらも離れ離れになってしまう。それから20年を経て、再開するというものだ。

★ これだけなら何てことはないのだが、男性(天吾)、女性(青豆)それぞれにドラマがある。一つ一つのエピソードを紡いでいけば完成する織物のような作品ともいえる。

★ 「証人会」「さきがけ」など実在する新興宗教団体が暗示されている。

★ 「空気さなぎ」に代表されるファンタジー的(あるいは形而上的)な物語と現実的なドラマが交錯している。これもまたパラレルワールドを感じさせる。

★ 天吾の母親の乳房を吸っていた男は誰なのか、天吾は本当にNHK集金人の父親の子なのか、「ふかえり」は結局何者で、どこに姿を消したのか、など曖昧なまま終わっている。リトル・ピープルとは何者なのか。それらはメインストーリーが進むにつれてグラデーションのように消えていく。

★ 天吾、青豆、そして牛河という3者の物語を通して作品を形づくっていくというのは、実験的な「小説作法」のように感じた。

★ 結局、元の世界に戻ったのか、それとも違うパラレルワールドに入り込んでしまったのか。あとは読者に委ねられている。
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高騰する学費

2019-05-03 12:22:39 | Weblog
★ 買い物の途中、ふと元塾生(現中3)のお母さんと会った。お子さんはクラブチームで野球をやっていて成績も良いので私立高校への推薦の話があるという。ただ問題は学費。入学金+授業料+諸費で120万円を超える。高校3年間でおよそ350万円。高大一貫校なので大学を合わせれば、1000万円にもなる。奨学金があるとはいえ、躊躇されるのは無理もない。

★ 毎日新聞の電子版が大学の授業料の高騰を記事にしていた。入学金+授業料が国立大学で80万円余、私立大学で110万余だという。私立大学の実際の費用は110万円では収まらないと思う(留学などをしようものなら数倍になる)が、それはともかく、4年間だと500万円を超える。

★ 低所得所帯への無償化は実現しそうだが、基準をわずかに超える中間層には厳しい負担だ。

★ 私の頃、国立大学の学費は年間14万4000円だったので、自分で払うことができた。更に教職に就けば奨学金の返済が免除されていた。(平成10年に廃止)

★ 司馬遼太郎さんの「坂の上の雲」の時代、貧しくとも士官学校や師範学校への道はあった。防衛大学のことはよく知らないが、師範学校の後継である教育大学ではこの伝統は途絶えた。

★ これから大学淘汰の時代がやってくる。競争が激化して学費も安くなればよいのだが、この業界には市場原理がうまく機能しないようだ。どんなカラクリがあるのだろうか。
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