★ 大学生がやってきた。授業で出された課題をどうやったらよいのかわからないという。課題というのは、ササキバラゴウ著「『美少女』の現代史」(講談社現代新書)を要約するというもの。
★ 要約だから、段落ごとにまとめてつなぎ合わせればよいのだが、そうした作業に慣れていないという。
★ 結局、担当部分を読む羽目に。読んでみるとなかなか面白い。70年代から80年代にかけて、少年マンガの変遷、作品の中で「男らしさ」がどう移り変わってきたのかが書かれていた。
★ マンガと劇画といった作風の違い、少年誌と青年誌の住み分けなど、いろいろあると思うけれど、確かに60年、70年、80年のマンガ(あるいはコミック)は大きく変わってきた。
★ 「巨人の星」や「あしたのジョー」の時代。男の子は何かを目指していた。現実世界では実現できないものを星飛雄馬や矢吹ジョーに託した。「あしたのジョー」のエンディングは名シーンだ。「燃え尽きたい症候群」に駆られた。
★ 本書では、ジョーが最後にグローブを託したのが白木洋子だったことを取り上げ、少年マンガにおける「女性」の存在を強調する。「女性」の時代が始まったのだ。
★ 作者は次に「愛と誠」や「デビルマン」を取り上げ、学園紛争の挫折、高度経済成長の破綻といった時代背景の中で、敵を失い、生きる目標、価値を見失った男たちが、最後に行き着いたところは「愛」であったと説く。
★ 70年代、「男らしさ」はいよいよ危機に直面し、等身大の生活を甘受しつつ、女性へのあこがれを生きる糧にするような作品が描かれる(「男おいどん」のような)。そして80年代のラブコメブーム。「翔んだカップル」で恋愛ジャンルが持ち込まれ、「みゆき」や「タッチ」に至るという。「女性」を通して、男のアイデンティティーが証明される時代に入ったようだ。
★ 男の子が、社会と切り離され、内向的、個人的になっていく姿が描かれている。社会を変革するとか、社会との関りで自分を成長させるとかいったモチーフはダサくなり、刹那的な幸福をめざして一生懸命に努力する時代になったのかも知れない。女性の存在があればこそ成立する物語、女性なくしては自らの存在意義が実感できない他律的な生き方が志向されるようになったのかも知れない。よく言えば「やさしさ」悪く言えば「軟弱」。
★ もっと先も読みたくなった。
★ 要約だから、段落ごとにまとめてつなぎ合わせればよいのだが、そうした作業に慣れていないという。
★ 結局、担当部分を読む羽目に。読んでみるとなかなか面白い。70年代から80年代にかけて、少年マンガの変遷、作品の中で「男らしさ」がどう移り変わってきたのかが書かれていた。
★ マンガと劇画といった作風の違い、少年誌と青年誌の住み分けなど、いろいろあると思うけれど、確かに60年、70年、80年のマンガ(あるいはコミック)は大きく変わってきた。
★ 「巨人の星」や「あしたのジョー」の時代。男の子は何かを目指していた。現実世界では実現できないものを星飛雄馬や矢吹ジョーに託した。「あしたのジョー」のエンディングは名シーンだ。「燃え尽きたい症候群」に駆られた。
★ 本書では、ジョーが最後にグローブを託したのが白木洋子だったことを取り上げ、少年マンガにおける「女性」の存在を強調する。「女性」の時代が始まったのだ。
★ 作者は次に「愛と誠」や「デビルマン」を取り上げ、学園紛争の挫折、高度経済成長の破綻といった時代背景の中で、敵を失い、生きる目標、価値を見失った男たちが、最後に行き着いたところは「愛」であったと説く。
★ 70年代、「男らしさ」はいよいよ危機に直面し、等身大の生活を甘受しつつ、女性へのあこがれを生きる糧にするような作品が描かれる(「男おいどん」のような)。そして80年代のラブコメブーム。「翔んだカップル」で恋愛ジャンルが持ち込まれ、「みゆき」や「タッチ」に至るという。「女性」を通して、男のアイデンティティーが証明される時代に入ったようだ。
★ 男の子が、社会と切り離され、内向的、個人的になっていく姿が描かれている。社会を変革するとか、社会との関りで自分を成長させるとかいったモチーフはダサくなり、刹那的な幸福をめざして一生懸命に努力する時代になったのかも知れない。女性の存在があればこそ成立する物語、女性なくしては自らの存在意義が実感できない他律的な生き方が志向されるようになったのかも知れない。よく言えば「やさしさ」悪く言えば「軟弱」。
★ もっと先も読みたくなった。