じゅくせんのつぶやき

日々の生活の中で感じた事をつぶやきます。

北森鴻「花の下にて春死なむ」

2019-12-08 16:28:06 | Weblog
☆ 北森鴻さんの「花の下にて春死なむ」(講談社文庫)から表題作を読んだ。

☆ 斎場の風景から始まる。句会仲間が亡くなったという。片岡草魚と号するその人物、死因は病死だったが、身寄りがなく、そもそも戸籍もはっきりしない。何かから逃れるように日本中を転々としていたようだ。

☆ 草魚と少々かかわりのあった飯島七緒は彼の遺品をもってわずかに聞いていた彼の故郷を訪れる。彼の失踪の原因を追い求める。

☆ 「花の下にて」は西行の歌。草魚の生き方と重ね合わしているようだ。

☆ 後半、申し訳程度に殺人事件が登場するが、それはあまり気に留めることもなさそうだ。ところで西行の詠んだ「花」は、桜だったかな、梅だったかな。
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綾辻行人「どんどん橋、落ちた」

2019-12-08 09:39:36 | Weblog
☆ 綾辻行人さんの「どんどん橋、落ちた」(講談社文庫)から表題作を読んだ。

☆ 1991年の大晦日午後10時ごろ、原稿の締め切りに迫られ、マンションに缶詰めになっているプロ作家「綾辻」のところに、一人の青年が訪ねてくる。Uと名乗るその人物、見覚えがあるようなないような。彼は自分の作品を「綾辻」に読んで欲しいという。

☆ いわゆる「犯人当て」に「綾辻」は引き入れられる。その「作中作」の題名が「どんどん橋、落ちた」。「綾辻」ともども読者も参加させられてしまう。

☆ さんざん悩んだ挙句、解答を聞いて、「綾辻」ともども「インチキだ。アンフェアだ」「「汚い、卑怯だ」と叫びたくなる。でも楽しめる作品だった。

☆ U君て結局誰かな。そんなこんなで年が明け、テレビでは、染之助・染太郎の芸が始まる頃だろう。
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