じゅくせんのつぶやき

日々の生活の中で感じた事をつぶやきます。

伊集院静「残塁」

2020-10-11 22:30:37 | Weblog
★ 伊集院静さんの「乳房」(講談社文庫)から「残塁」を読んだ。

★ 演出家として成功している主人公のところに1枚の葉書が届いた。かつて大学生の頃、同じ野球部で過ごした知り合いからだった。彼は大学卒業後、数年プロ球団に所属し、今は自分で焼き鳥屋をやっているという。主人公はワクワクする気持ちと何か割り切れない気持ちを併せ持ちながら、彼に会いに行くことにした。

★ 20数年ぶりの再会。上下関係が厳しかったかつての部活の様子や上級生の制裁から逃れて街中にオアシス(飲み屋)を求めた日々のことが思い出される。

★ やがて、主人公は割り切れない気持ちの正体を知る。20数年のわだかまりが解けていった。

★ 短い作品だが、何かひかれるものがあった。
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「芸術家の本懐は」

2020-10-11 13:45:54 | Weblog
★ 浜口雄幸首相は東京駅で凶弾にたおれた時、「国家の為に斃るれば寧ろ本懐とする所だ」と言ったという。(城山三郎「男子の本懐」新潮文庫、307頁)

★ 浜口が他界して数年後、盟友、井上準之助もまた凶弾に斃れる。

★ 話は変わって、仏の出世の本懐は開示悟入だという。「仏が衆生の知見を開き、教えを示し、悟らせて仏果に入らせること」(広辞苑)が仏の出現の目的だという。

★ アニメ「ゴールデンカムイ」の第2期を観ていて、「芸術家の本懐は作品を世に残すことだ」というセリフを聞いた。言われてみれば当然のことだが、「ハッ」とした。作者は死んでも作品は残る。

★ さてさて、教育者にとって「本懐」とは何であろうか。弟子を育てること、後継者を育てること。仏の出世の本懐を慮ると、実に高尚な使命があるように感じた。身の引き締まる思いがした。
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