じゅくせんのつぶやき

日々の生活の中で感じた事をつぶやきます。

薬丸岳「黄昏」

2020-10-19 01:57:30 | Weblog
★ 薬丸岳さんの「刑事の怒り」(講談社文庫)から「黄昏」を読んだ。情景がありありと浮かぶ作品だった。

★ 夏目信人は東池袋署から他署へ異動の辞令を受けた。同僚に惜しまれての異動だった。送別会が予定されたその日、事件が起こった。女性が母親をトランクに詰め放置していると通報してきたという。夏目たちが現場に急行すると、確かにベッドの上に死後数年を経た遺体がトランクに小さく詰められていた。

★ 外傷はなかったものの、女性は死体遺棄と年金を不正受給した詐欺で裁かれる可能性があるという。なぜ、女性は母親を3年間も放置したのか。通帳には葬儀を出せるぐらいの貯金は残っていた。それに女性と母親は5年前に厚木からこのアパートに引っ越してきたという。女性は仕事の都合と言うが。

★ 夏目は女性の供述に引っかかるものを感じて、捜査を続ける。そしてある事実に行き当たる。

★ 物語の運びがうまい。最後は「遺留捜査」の「3分間だけ時間をください」や「はぐれ刑事純情派」のような人情味のあるエンディングになっている。薬丸さんの作品をもっと読んでみたくなった。
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