じゅくせんのつぶやき

日々の生活の中で感じた事をつぶやきます。

佐多稲子「三等車」

2020-10-30 23:16:52 | Weblog
★ 塾生が2016年のセンター入試「国語」を解いていたので覗いてみた。文学作品は、佐多稲子さんの「三等車」が使われていた。これが、読み始めるとなかなか面白い。

★ 終戦後の1950年代、鉄道の座席は一等から三等まで区別され、三等車は庶民階級であふれかえっていた。

★ 鹿児島行きの急行列車、「わたし」は座席屋(座席を確保し、それを乗客に売る闇屋、ダフ屋)に200円(今の価値では2000円から3000円だという)を払い、座席を確保した。

★ 「わたし」の隣の席に幼子2人を連れた夫婦がやってくる。夫はすぐホームに降り立ったので、見送りだけのようだ。妻が愚痴交じりに語る。夫を頼って東京に出てきたものの、物価が高くて生活が立ちいかない。幼子を抱えて共稼ぎもできない。夫は東京に残り、母子は実家のある鹿児島に帰るという。家業が農家だから餅ぐらいは食わせてもらえるだろうと。

★ 「男って、勝手ですねえ。封建的ですわ」というセリフが光る。

★ 満員列車の3密状態は今のご時世では考えられない。昔はみんな逞しく生きていたんだなぁと思った。

★ それにしても文末の注釈。「二百円」は貨幣価値が変わったから良いとして、「闇(闇取引)」「所帯」「ねんねこ袢纏」「ズック」「外套」、果ては「メンコ」まで。今の子たち(大学受験者)は「メンコ」を知らないのかぁと感慨深かった。形態や遊び方までご丁寧な説明が付いている。

★ 「昭和は遠くなりにけり」ってところだろうか。
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映画「十三人の刺客」

2020-10-30 16:33:52 | Weblog
★ たまにカップ焼きそば(厳密に言えば「焼きそば」ではないが)が食べたくなる。しかし、たまに食べるものだからつくり方を間違ってしまった。カップ麺同様、先に粉末ソースを乾麺にかけ、湯を注いでしまった。「アッ」と思った時は後の祭り。ソース色の湯を切り、随分と薄味の「焼きそば」になってしまった。これではさすがに「まずい」と思って、ウスターソースとマヨネーズで和えると、案外うまかった。

★ さて、そんな雑話はさておき、昨日は映画「十三人の刺客」(1963年)を観た。NHKBSで放映されていたが、途中からだったので、あらためて最初から観た。この作品、2010年にリメイクされているという。

★ 1963年と言えば「斜陽産業」と言われながら、まだ映画界が活況だった時代。「七人の侍」(1954年)や大河ドラマ「赤穂浪士」(1964年)など、時代劇にも人気があったようだ。

★ 将軍の子でありながら利己的で残虐な性格の明石藩主。その素行にたまりかねて、江戸家老が筆頭老中の門前で切腹する。藩主の悪行を糾弾する訴状を残して(今の時代で言うなら内部告発)。

★ 訴状はもっともながら、将軍の寵愛を受け、次期老中と言われる明石藩主だけに、筆頭老中もその処置に困り果てた。そして遂に刺客を差し向けることにしたというストーリー。

★ 政権による暗殺・テロだが、そこは封建時代のお話。参勤交代の帰路を狙って、13人の刺客が藩主側50余名を相手に死闘を演じる。

★ 片岡千恵蔵さん、嵐寛寿郎さん、そして若い里見浩太朗さんなど、スターがそろう。藩主の悪辣に心を痛めながらも忠義の為、藩主を護衛する軍師、鬼頭半兵衛。その役を演じる内田良平さんの目が鋭い。

★ クライマックスは寂れた宿場での乱闘シーン。舞台が迷路のようで、「七人の侍」ほどの迫力、美しさは感じなかったが、実際の戦闘はこのような肉弾戦なんだろうなぁと思った。昔の映画は面白い。
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