じゅくせんのつぶやき

日々の生活の中で感じた事をつぶやきます。

大石直紀「二十年目の桜疎水」

2020-10-31 15:15:47 | Weblog
★ 大石直紀さんの「桜疎水」(光文社)から「二十年目の桜疎水」を読んだ。

★ 北欧のどんよりした冬、主人公に「母危篤」の知らせが届く。借金を残して急逝した父親に代わり、身を粉にして働いた母。それは一人息子のためであったに違いない。それはわかっていながら、主人公は母の束縛から逃げ続けてきた。

★ 地元を離れ、京都の大学に進学した主人公には、かつて結婚を約束した女性がいた。しかし、幸せな日々はある事故のために終わりを告げる。

★ 母が臨終を前に語った告白。それが心に引っかかり、主人公は20年ぶりに京都を訪れる。彼はかつての恋人と会うことができるのか。彼女は彼を受け入れてくれるのか。玄関のチャイムを押すシーンは胸が躍る。


☆ 鴨川沿いの桜の美しさ。京阪電車が地上を走っていた学生時代の記憶が蘇る。等間隔に座るカップルの姿は今も続いているだろうか。

☆ 本作は今年度の「京都本大賞」を受賞したという。むべなるかな。
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