本当の気持ちは他人にはわからない。
人の心の中を覗き込むことはできないし。
なので、その人の受け答えの内容や態度、表情でその人が何を考えているか憶測するしかない。
問いかけに対する答えのしかたで、
「他人から見た自分像」は決まってしまう。
もし自分に行動原則みたいなものがあって、
「道」と照らし合わせて自分はどうあるべきなのか?
をしっかりと持っていれば、迷いもブレもなくなるんだろう。
リーマン道とか、
人付き合い道とか。
そういった意味で、
自分には「背骨」がない。
「判断基準」、「理念」、「道」と呼べるものがない。
本を読んでどうなるもんでもなし、
人との関わり合いの中で経験を積むしかない。
いいトシこいて、いまさらこんなことに気づくなんて。
***
夜、2階の寝室に向かう途中、
階段の窓から月明かりが差し込んでいた。
見上げると丸い月が藍色のそらにぽっかり浮かんでいた。
空気が澄んでとてもくっきり、はっきりと見える。
月には迷いがないよな。
ああいう風になりたいもんだな。