昨年の節電目標は電力会社のデータに基づき決められたものでありましたが、この夏の場合は政府などでかなり揉み込んだものとなったようです。その結果、関西電力で15%以上、九州電力で10%以上の節電目標が定められました。関西電力で50%程度、九州電力で40%程度の原発依存度がありましたので、少々意外な結果に驚いております。
しかし、これらの節電目標は相当に詰めた結果であろうと思われますし、電力融通を前提としたものでもあります。ある意味楽観的に見ているとも言えなくありません。再び想定外と言わないためには「この夏の電力需給見通しについて思うこと」で書いておりますように当初の電力会社の見通しをワーストケースとして想定しておいた方が良いと考えます。
政府の目標通りに節電したが、想定外の事象が発生したので大停電してしまいました。あるいは急遽計画停電を実施することにしましたということにならないようにするためには、常にワーストケースを想定して対策をしておくことが必要です。今までの政府の危機管理に対するあり方を見ていると楽観論に傾いているというか、危機に対する想定が甘過ぎるように思われます。危機は一番弱いところを突いてきます。
今回の対策でいえば、その弱点は自主的な節電と電力融通でしょう。自主的な節電に楽観論は禁物です。電力融通についても確実に融通できる保証はありませんし、融通する電力会社も大きな余裕があるわけではなく、管内の需要家にも節電が求められます。電力会社間の融通について法的枠組みを整備すべきであろうと考えます。
大震災以降、政府の対策は後手後手に廻りっぱなしであることは否定できないと思います。今回の対策について、100%信頼することができません。