マスコミ等で報道されている節電の方法について、誤解を招きかねないものが散見されます。例えば、エアコンの設定温度を26℃から28℃に変更すると約10%、冷蔵庫の設定を「中」から「弱」にすれば約2%節電できるとかいったものです。これらの情報源は政府等からのものです。
これらの手段で電力量(kWh)を削減することは可能です。しかしながら、この夏の対策として要求されていることは、ピーク電力(kW)を減らすことです。(参考 「電力と電力量」)
この夏、九州電力では10%以上の節電が要請されております。その記事の隣にエアコンの設定温度を28℃に設定すれば10%節電できると書いてあれば、「なーんだ。それだけでいいのか。」といった誤解が生じてしまうのではないかと恐れます。(参考 「家庭における節電」)
エアコンの設定温度の変更で省エネになります。しかしながら、ピークカットが確実にできるとは言えないところが問題を複雑にしてしまうところです。そもそも夏場のピーク電力の発生要因はエアコンが大きな部分を占めております。外気温が高くなるとエアコンもフルパワーで動作するようになります。ですから28℃に温度設定したとしてもフルパワーで連続運転するような状況に陥り易くなります。このようになると10%減は怪しくなってしまいます。だからといって、28℃への変更に意味がないと言っているのではありません。26℃よりも28℃にした方が、よりピークカットできる可能性が高くなるということです。
冷蔵庫の場合にもエアコンと同様に考えることができます。ただ、冷蔵庫は保温能力が高いので、ドアを開けなければ省エネ効果≒ピークカット効果になります。そして、ピーク時間帯には出来るだけドアを開けないことと、冷えていないものをピーク時間帯の前に入れないことです。それから、ピーク時間帯以外で水を入れたペットボトルを凍らせておいて、ピーク時間帯に冷蔵庫に移すといった方法も効果があるものと考えます。九州では台風の被害で停電することが多く、台風の襲来前にはペットボトルを冷凍庫に入るだけ凍らせておきます。いざ停電という時には一部を冷蔵庫に移しますと丸一日位の停電は持ちこたえることができます。
確実にピークカットできるのは、照明やテレビなどコンスタントに電力を消費するものです。特に、テレビは近年大型化が進んで消費電力の大きなものが普及してきました。マスコミはテレビを消しましょうとは積極的に言えないでしょうから・・・。放送局の皆さん、こんなことを書いたからといって、私をバッシングしないでくださいね。テレビ報道の重要性は認識しておりますし、緊急時の情報伝達手段としての必要性も重々認識しておりますので、くれぐれもよろしくお願い申し上げます。
このように誤解を招きかねないような報道が見られましたので、一応記事を立ててみました。お役に立てば幸いです。
<参考> 「家庭でできる電力測定と省エネ活動」 「エアコンの省エネルギー」 「計画停電解消へ向けての提言」