山浦清美のお気楽トーク

省エネ、農業、飛行機、ボウリングのことなどテーマ限定なしのお気楽トークができればと思っております。

集中と分散~利便性と危険性

2023-05-27 | うんちく・小ネタ
 最近マイナンバーカードの問題が次々と明らかになってマスコミを賑わせております。原因は人為的なミスだと主務官庁の方々は他人事のような認識でおられるようですが、そもそも人が入力するのであればミスが発生するのが当たり前です。そのことを前提としてシステムを構築する必要があるのに監督官庁がその程度の認識しかないのは異常なことだと言わざるを得ません。今後は入力に万全を期すとともに全てのデータを突合してチェックするそうですが、現在進行形でどんどんデータが増えていくのですよ。現実的解決策と言えるのか甚だ疑問に思います。かつて年金問題が発生した時に突合突合と大騒ぎしましたよね。過去のデータでさえ結局うやむやになって仕舞ったのに、現在進行形の突合をどのようになさるのか高見の見物させていただきたいと存じます。少し脇道に逸れてしまいましたので、話を戻します。

 そもそもマイナンバーは全国民に固有の番号を割り当て、この番号をキーとして当該国民の諸情報を一元管理することを目的としたものです。
 さて管理される各種情報は一体どのようなものながあるのでしょうか。先ず思いつくのは、戸籍・住民票関連、税務関連、各種免許関連、年金、健康保険、雇用保険、銀行口座関連などでしょうか。それに加えて、国が必要と認める個人情報が含まれるということになるのでしょう。

 これらの諸情報は現状でも個別のシステムで管理運営されています。ということはそれぞれのシステムで固有の番号が個人に割り当てられているはずです。ですからマイナンバーとそれぞれのシステムのナンバーを紐づけされており、あるいはマイナンバーの逆引きが出来るようになっていれば、マイナンバーカードなど必要ないのではないかといった疑問が湧いてきます。
 例えば今話題になっている健康保険で言えば、健康保険証のナンバーがキーとして情報が管理されています。だから同一健康保険組合の中であれば、必要な情報を検索できるはずです。しかし、転職等で健康保険組合が変わった場合には従前の組合の情報にアクセスできません。このような場合などにマイナンバーで検索して健康保険組合の変更履歴を辿ることができれば、当該健康保険組合の情報にアクセスすることが可能になります。そう言った意味でマイナンバーによる一元管理を可能にし利便性が高まることとなります。
 さて、ここまでの話にはマイナンバーカードは登場しておりません。マイナンバーカードが無くてもできることなのです。もちろんマイナンバーを管理するシステムと健康保険組合のシステムがそのような機能を構有している必要がありますが・・・。と言うか、恐らくは既にそのようなシステムになっているものと思われます。

 では何故マイナンバーカードと健康保険証を一元化する必要があるのでしょうか。確かに2枚のものが1枚に集約化出来て便利になるということはあるでしょう。更には運転免許証も近々統合化される予定とか?
 ここにマイナンバーカードを普及させるための策略が透けて見えているのです。まさに飴と鞭の政策なのです。後先考えずにがむしゃらに突き進んで行くのか全くもって理解不能です。国は余程の必要性に迫られているとしか考えられません。それはいったい何なのでしょうか⁉

 さて、私たちが日常生活をおくる上で普段身に付けているものと言えば、運転免許証、クレジットカード、Suicaなどの交通系のカードなどでしょうか。運転免許証以外はほとんどスマホで出来ますので、持ち歩かない方もいらっしゃるのでは?
 運転免許証を待ってない方はもしかしたら身分証明書代わりに健康保険証を持ち歩いていらっしゃるかも知れませんが、そんなに多くないものと思われます。
 ですからマイナンバーカードと運転免許証を統合化するということなら未だしも理解できますが、病院に行くのにマイナンバーカードを持ち歩くというのは如何なものでしょうか?
 
 持ち歩くということは、もしかしたら失くす可能性があるということです。マイナンバーカードを失してしまうと統合化されたもの全てを失うということとなります。セキュリティ対策が万全であって悪用されることは無いと喧伝されております。一応それを信用することにしましょう。しかしながら、新しいマイナンバーカードが手元に届くまで機能不全に陥ってしまいます。
この期間は現在のところ1ヶ月程度が見込まれるということです。現在の保険証であれば1週間程度で再発行されるでしょうし、運転免許証だったら即日交付してもらえると思います。それとも警察署で免許証の代用となる証明書を発行してもらえるかも知れません。
 何れにしても危険は分散させておいた方が良いということは言うまでのこともないしょう。投資は危険がつきものです。大怪我をしないためには分散投資が勧められております。
 便利だから何でもかんでも集中させれば良いというものでもありません。情報であっても一元管理するより、サブシステム毎に分散管理した方がより安全性の高いものにすることが出来ます。確かに、似たようなシステムが多くなってしまい効率が悪くなってしまうかも知れません。しかし、万が一のことが発生した場合の被害を限定(局所化)し極小化することを可能にします。
 果たして国が採るべき方向は利便性・効率性を追求することでしょうか。それともベストの効率は求めないが、より堅牢なシステムを構築することでしょうか。

 以前、住民基本台帳カードなるものを作成しました。マイナンバーカードと異なり金額は忘れてしまいましたが有料でした。当時は鳴り物入りで利便性が高くなるので作りましょうと言われておりました。私も職務上知識として知っておきたかったので作成したものです。しかし、あれだけ高額の宣伝費用を掛けたにも関わらず結果は皆さんご存じの通りです。そしてマイナンバーカードが発行されることとなってカードの発行は終了ということになってしまいました。
 結局、所得税の電子確定申告で1回、無線従事者免許証の申請で1回(この場合は住基コードの記載だけでカードは不要でした。)だけです。
 マイナンバーカードも同じ轍を踏まないように願うばかりです。