しばらくお休みするつもりでしたが昨日病院で、余りに心にも残る印象的な出来事がありましたので、書き留める事に致しました。
手術室へ向かう夫を見送った後のこと。
一瞬用事で階下に降りようと、エレベーターの前に立っていました。
すると、同室の方らしき人が、私に話しかけてきました。
斜め前の方だと判りました。
夫の病名を尋ねられ、お答えしたところ、私も肝臓がんで手術をし、あす退院します、とのお話。
前から私は、看護士さんへの応対が紳士的で礼儀正しく、自分の疑問点を明確に話され、実に自己管理がしっかりできた、優等生の
患者さんと、傍目に感心していました。
更にいろいろ語られるうちに、私の郷里の広島からわざわざ足を運び、この病院に入院されたことが分かりました。
夫の主治医でもある院長先生が、肝臓がんの名医と知り、頼ってこられたようです。
血小板が少ないとかで、手術に取り掛かるのにも時間がかかり、50数日間入院された末の御退院のようでした。
ご本人はむろん、郷里でお待ちのご家族の方々も、さぞ安堵され、お喜びのことでしょう。
頑健そうな体つき、日焼けされたお顔からの印象は、健康そのもの。
とてもご病人のようには見えません。
私は素直にその印象を伝えました。
山と海が大好きでいらっしゃるとのこと。
来し方の充実した人生が垣間見えるようでした。
しかし、その方が私に向けられた眼差しは真剣そのもの。
何か哀願するような憂いを含んでおられました。
初めてお話しさせて頂いた方ですのに、同郷の好もあってか、まるで知己のような親しみを覚えながら・・・
お話しに、私は耳を澄ましました。
そしてその素敵な紳士が、私に哀切のある口調で、次のようにお尋ねになるのです。
「肝臓がんが、再発しない良い方法が何かありませんかね~?」と幾度も。
私は、なんとお応えすればよいのか、本当に困りました。
私も、同じ質問を返したい位でしたから。
私がお返しした精一杯のお返事は、「いろいろな情報に惑わされることなく、信頼するお医者様を信じ、その先生の指示に従って、前向きな
気持ちで頑張っていれば、きっと良い方向に進展してくれるのではないでしょうか。私はそのように思います」とだけ、お応えしました。
その方が、私の心もとない返事に納得なさったとは思いませんが、何度もうなずいて下さいました。。
明日、郷里の広島に戻られるとのこと。
日が暮れ夜の帳が下りる頃、私は夫の病室を後にしましたが、その方に、「お元気になられて下さいね、ご快復を信じています」とご挨拶をして、
お別れしてきました。
夫の手術は無事終了。
まだ若々しい副主治医の、「大丈夫、ツーステップまで、実に順調です。安心して下さい!」との確信に満ちた力強い言葉に、励まされ、癒され、
約9時間の私の病院滞在が終わりました。
夫と、67歳の紳士の方の、今後の回復をひたすら祈り、良い先生に巡り合えたことに改めて感謝しながら、昨日もまた、遅い家路につきました。
今日もご訪問頂きまして有難うございました。