河村顕治研究室

健康寿命を延伸するリハビリテーション先端科学研究に取り組む研究室

イッチとテン

2011-07-05 | Private
今日はちょっと気分転換にエッセイを書く。

イッチというのは我が家のチワワの名前である。
正確に言うと現在は実家の母親に世話をしてもらっている犬の名前である。

この犬が我が家に来たのは2006年9月10日である。

当時、息子は小学校低学年で英語を習い始めており、子犬にイッチという名前をつけた。
何でかと問うと犬はワンとほえるからだという。
昔から我が息子は親父ギャグが好きだった。
怪傑ゾロリを見ながらしきりに
『ふとんが吹っ飛んだ。』
などと親父ギャグを連発していた。
そんな影響と習い始めた英語がミックスした結果のネーミングだったのだ。

イッチは我が家に来た直後、環境が変わったせいか、朝方低血糖発作を起こしてあわやという状況もあったが、私がすぐに砂糖水を無理矢理飲ませて何とか生き延びた。
元々は虚弱な子犬だったのが、名前が良かったのか次第に元気になり、ワンワンとマンションの中で盛んに吠え始めた。
当初懸念したように、次第に大きくなった犬は下の階からのクレームのためマンションでは飼えず、父親が亡くなって一人暮らしになった母に育ててもらうことになってしまった。
今では母親の欠かせないパートナーになっている。



さて、テンというのは最近私が治療した子どもの名前である。
父親と一緒に海に遊びに行っていて転倒して右手を突き込んで水着のまま病院に運ばれてきた。
早速レントゲンを撮ると単なるColles骨折ではなく、橈骨遠位端の骨端線損傷だった。
骨端線というのは成長軟骨のことで、ここを痛めると大変なことになる。
父親にこの骨折がいかに治療が難しいか、将来変形などの後遺症が残る可能性もあることを説明したら、ショックのためか倒れそうになった。
目からは涙がこぼれている。
カルテに所見を記載していると名前が『十』となっており、その読み仮名に『テン』とあった。
変わった名前だと思ったが、その時はそれほど気にもしていなかった。

私の説明で椅子に座り込んで頭を抱えている父親を看護婦さんが励ましている時、父親が語ったところによると、結婚後なかなか子どもに恵まれず、10年目にやっと授かった子どもなのだという。
それで『十』と命名したそうだ。
なかなか思い入れのある名前だったのだ。
そういう子どもであればけがをしたのを見てこれほど動揺するのもうなずける。
私も、そんな父親の気持ちが十分に感じられ、後遺症など残らないようベストの処置をしなくてはと気が引き締まった。


イッチは英語の日本語読み、テンは日本語の英語読みで反対だが、偶然の類似がおもしろく感じられた。

コメント (1)
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