河村顕治研究室

健康寿命を延伸するリハビリテーション先端科学研究に取り組む研究室

特許と大学と補助金

2011-07-21 | 大学
今年度に入って一番力を入れて申請した補助金の審査結果が昨日返ってきた。

結果は不採択。
さらに、評価結果は最低。

ちょっと落ち込む。

これまで、JST補助金について勉強してきた中で分かったのは、この補助金は研究としての内容が優れていると言うだけでは採択は無理で、将来産業的に実用化される見込みがあるという内容でないとだめだと言うことである。
いくら研究者本人がこれはすごい可能性を秘めていると力説したところで逆効果でしかないのである。

iPS細胞を発見した山中先生の研究も、最終的にはJST補助金を受けているが、実は審査の中ではかなり意見が分かれたらしい。
iPS細胞自体は研究としては超一流の研究だが、いまだ臨床応用の目処は立っていない。
産業化できる見込みが立っていないと言うことである。
本来であれば、このような研究にはJST補助金は支給されないのである。


iPS細胞と言えば、7月18日の日本経済新聞によると、京大のiPS細胞特許戦略は最近見直され、取得特許を絞り込む方針に転じたそうだ。
これは特許の保有などにかかるコスト負担を京大だけで負担することが困難だからだそうだ。

特許は産業化されてこそ意味を持つし、収入も入ってくるが、ただ単に特許を取得したと言うだけでは単なる金食い虫でしかない。
京大はすでに約70件の特許を出願し、その出願や保有に年間数千万円もかかるらしいのである。

しかも、この特許は将来生きてくるかどうか何の保証もない。
例えば、山中因子以外の遺伝子でiPS細胞が作れることになれば、これまでの特許はすべて無意味になる。

それだけでなく、うまく行って特許が使えそうな状況になると、似通った特許を巡って海外で訴訟が起こる可能性もある。
特許訴訟は1件で数億円の負担がかかるそうだ。


こんな記事を読んでいると、ますます落ち込んできた。

今現在私が取り組んでいるJSTの特許化支援の補助金申請は、うまく行ってもだめでも茨の道である。
コメント
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