「うつせみ和尚」のお説教

『うつせみ和尚の日記』二件の事故が元で『(複雑性)PTSD/鬱』になって
闘病、障害当事者として活動している者です。

読まずに死ねるか!!(書評)『強制不妊-旧優生保護法を問う』

2019年10月09日 20時52分15秒 | 読まずに死ねるか!(書籍紹介)
極めて悪法であった『優生保護法』ですが、1996年に改定され、
『旧優生保護法』になったわけですが、今の安倍政権は
「1996年にすでに改定されたのだから、国に責任は無い」として
裁判所で争って見事に完敗・・・。
それでも国は非を認めず、「特例として・・・」と訳のわからないことを言って
判決を認めました。
それまでに国としては救済策を作っていて、微々たる金銭でなだめようとしたが
裁判で国を訴えた方が賠償金が高いという現実があって、
今、政府は無い知恵を絞っているようです。

さてさて、本書には様々な理不尽な状況で『断種手術』を受けさせられていること
男女問わず、理由も根拠が無いものが多い・・・涙
10例が挙げられていますが何とも読んでいて腹の立つことばかりです。
中には「知的障害者の断種手術」もあるのですが、
今でも「障害者は産んじゃいけない、家庭を持っちゃいけない」という
風潮があるのはこれまた腹立たしいものです。

この法律はもともと戦後の混乱の中、強姦などに遭う女性がいたものだから
『母体保護法』として、「人工中絶手術」を認めるもので、
もう一つ「不妊手術」をも認める法律でした。
この法律を利用して、「障害者の強姦事件で、その責任を負うことができない
ので障害者を断種手術をしちゃおう」というものでした。
その法律が1996年まで続いていたのです。(つい最近です。)
まぁ、TVのドキュメンタリー番組で手術にいきさつが数々挙げられております。
沿革を申しますと、『優生保護法』に通ずる『母体保護法』ですが、
『優生保護法』の趣旨は「優れた人間だけ子孫を残すべきで、障害者や浮浪者など
は、子孫を残すべきではない。」ということですが、これをまず実践したのは
『ナチスドイツの「障害者・ユダヤ人」の虐殺』だと思いがちですが、
ナチスドイツは、この『優生保護法』をすでに実践していた、あのアメリカの
『優生保護法』をお手本にして大虐殺を行いました。
日本は戦後この法律を作ったときに「占領国のアメリカがやっているから」と
なんの疑問も挟まずやったのだろうと思います。
今、日本はあの「相模原障害者施設虐殺事件」を肯定する
「ネット上の顔の見えない下郎者たち」がいるのは残念な話しですが
下手をすると「歴史は繰り返される」ということにもなりかねない
という事なのかも知れません。

インタビューの部分が多いので本の厚さの割には、あっと言う間に読了しますよ。
ただ、腹が立つことこの上なし!!

ん~、この良書読まずに死ねるか!!
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