この映画は世界の映画賞をとっているという触れ込みでした。なんと、上映時間は3時間!ん〜疲れました。
オッペンハイマー博士は言わずと知れた『原子爆弾の父』と言われる方で、第二次世界大戦中でドイツと核開発競争がありアメリカは当時最先端の科学者を世界から呼び集めて作ったものですが、蓋を開けてみれば完成前にドイツは降伏、核開発はアメリカと比べると周回遅れ。お試しで日本に使われたと言われても仕方ない。広島と長崎に投下されたわけですが、地形の違いを試して被害を比較したかったようです。
以上はNHKのドキュメンタリーのネタです。
あい変わらず、前段が高いですがオッペンハイマー自身は開発途中から「こりゃ、マズいもん作っちゃったな」と気付き、軍部に掛け合いますが、当然軍人でもなけりゃ政治家でもないオッペンハイマーの意見は聞き入れられません。また、オッペンハイマーが集めた優れた科学者たちも「世界的発明」「世界大戦を終わらせるため」という意欲は強くオッペンハイマーの意見は聞き入れられません。オッペンハイマーの気持ちとは裏腹に原爆は投下されてしまいます。そして、世界大戦終戦。ルーズベルトが死去した後の大統領であるトルーマン大統領が「原子爆弾の父」であるオッペンハイマーをホワイトハウスに招き称えますが、オッペンハイマーは、世界規模での核管理を訴えますが当然受け付けてもらえず、やんわりと退室を促されます。そのあとは、トルーマン大統領は側近に「あの泣き虫を二度といれるな」といいます。戦後、核開発以前に関わりがあった共産党について様々な委員会などで吊るし上げられます。映画ではオッペンハイマーを陥れた人間を後半で改めて登場させますが、それはご覧になって下さい。
余談ですがアメリカでの核開発はルーズベルト大統領が推進していたわけですが副大統領であったトルーマンには一切知らされておらず、ルーズベルト死後このことを知らされて驚愕したとのことです。
また、戦後のアメリカはソ連との緊張状態から国内での『赤狩り』が吹き荒れるのですがオッペンハイマーだけでなく、後に大統領になるレーガンを委員会に呼び出されて質問をされています。さらにチャップリンも委員会に呼び出されて、潔白を訴えたのですが映画のキャンペーンで国外に出て帰国をした際にアメリカへの入国を拒否されます。そして、アメリカ映画界からも追放されます。後に入国は許されますが、このアメリカに吹き荒れた『赤狩り』を皮肉った「ニューヨークの王様」という映画を制作しています。
また、映画にもどりますが映画の冒頭でオッペンハイマーとアインシュタインが何かしら立ち話をしているシーンがあって、最後の方に何を話していたか種明かしが観られます。
観て損のない映画だと思いますが体調を整えて観ることをオススメします。