「うつせみ和尚」のお説教

『うつせみ和尚の日記』二件の事故が元で『(複雑性)PTSD/鬱』になって
闘病、障害当事者として活動している者です。

読まずに死ねるか!!(書評) 『「右翼」の戦後史』

2019年10月22日 18時18分03秒 | 読まずに死ねるか!(書籍紹介)
みなさん「右翼」というとどんなイメージでしょうかね?
こんな感じ?
私の田舎でも越してきた京都でも見ますね。
実感として昔ほど盛んでなくなったような気がします。

本書ではいわゆる「思想団体としての『右翼』の戦後史」を取り上げております。
「戦後」とは言え、戦前~戦中から辿らなければ「戦後 右翼」も理解できません。
右翼に付きまとうのは「暗殺事件」ではないでしょうか?
歴史上、頭角を現すような事件は1932年(昭和7年)に起きた
元大蔵大臣 井上準之助が当時20歳の小沼正という青年に暗殺されたあたり
からだということです。
三井財閥総帥の團琢磨を暗殺した「血盟団事件」。
そして、日中戦争から太平洋戦争になだれ込むことになった
「5・15事件」、「2・26事件」
これらの暗殺事件の根底にながれる思想は「一殺多生」と呼ばれ、
特に以上に挙げた時代は農作物の不作が続いた地方の農家は
娘の身売りで生計を立てるという非常に困難な時代。
そこで不満のはけ口になったのが「政治家・財閥」といった資本主義社会を
司る面々だった。
「一殺多生」は『一人の命を絶ち多くの命を助ける』といった意味があり
この精神は今の右翼にも通ずる者であるそうだ。
今、やっちゃたら団体ごとつぶされますがね。
長くなりましたが、右翼思想の源流と言われるものは『水戸学』といわれ、
吉田松陰や西郷隆盛に大きな影響を与えたといわれています。
儒学を基盤とした神話や道徳、身分や社会の安定を図るための思想だそうです。
源流から戦中までの流れを見るだけでも昨今の暴力団と区別がつきにくい
今の状況との違いが判るかと思います。
いやね、ちゃんとっていちゃおかしいけれど、「右翼精神」の源流を受け継いでいる
団体もあるのですが、暴力団と密接な関係がある団体があることも事実です。
どうも私としては在野で動くのではなく、国政に打って出て国民の信任を得て
国会で主張を展開すればいいのでは?と思うのですが、
どうも彼らの信念とは相容れないものがあるようです。
本書は著者が「右翼の大物」や「右翼団体」とじかに会ってインタビューをしていて
実態のほどもわかるようになっております。
今、「現在の右翼」を書物で知ろうとするとなかなか難しい中、
「現在の右翼とは何たるものか?」を知る一助になる本だと思います。


この本、読まずに死ねるかぁ!!




 
 






うつせみ日記 『障害者という身で災害を考える』

2019年10月14日 13時50分07秒 | 日日是佛滅
今回の信越・関東・東北南部の台風被害の報に接し
障害者である私は不安に思うのです。ハイ
まずは医療機関が復旧するまで薬が受け取れないこと。
そして、避難所が障害者を引き受けてもらえるかどうか、という問題。
障害者にとっては切実な問題です。
東日本大震災の時には一部避難場所では障害者の受け入れを
拒否されたところもあるとか・・・(~_~;)
私の在地は(在地って・・・)京都なので今回の台風や大規模な震災の
被害はないのですが、近畿は近畿で「南海トラフ」という爆弾も抱えており
気分としては「常在戦場」の思いです。
寛解に近い人であれば、そんなに気に病むことは無いのでしょうが
私の場合ですが薬を23(錠・包)/日飲んでいますと問題は切実です。(@@;)
正直、大勢が一カ所に固まって寝起きを共にすることも
健常者以上にストレスになりますし、
非常時に別の場所が用意できるとも思えません。
ん~、最近は寝袋を買おうかと思っております。
薬に関しては備蓄出来るものではありませんし、
私のような者は一般にドラッグストアで買えうるものでは効きません。

天変地異が起こる度に不安になる今日この頃です・・・

まずは早く復旧することを望んで止みません。
ご自愛くださいませ(._.)オジギ





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読まずに死ねるか!!(書評)『強制不妊-旧優生保護法を問う』

2019年10月09日 20時52分15秒 | 読まずに死ねるか!(書籍紹介)
極めて悪法であった『優生保護法』ですが、1996年に改定され、
『旧優生保護法』になったわけですが、今の安倍政権は
「1996年にすでに改定されたのだから、国に責任は無い」として
裁判所で争って見事に完敗・・・。
それでも国は非を認めず、「特例として・・・」と訳のわからないことを言って
判決を認めました。
それまでに国としては救済策を作っていて、微々たる金銭でなだめようとしたが
裁判で国を訴えた方が賠償金が高いという現実があって、
今、政府は無い知恵を絞っているようです。

さてさて、本書には様々な理不尽な状況で『断種手術』を受けさせられていること
男女問わず、理由も根拠が無いものが多い・・・涙
10例が挙げられていますが何とも読んでいて腹の立つことばかりです。
中には「知的障害者の断種手術」もあるのですが、
今でも「障害者は産んじゃいけない、家庭を持っちゃいけない」という
風潮があるのはこれまた腹立たしいものです。

この法律はもともと戦後の混乱の中、強姦などに遭う女性がいたものだから
『母体保護法』として、「人工中絶手術」を認めるもので、
もう一つ「不妊手術」をも認める法律でした。
この法律を利用して、「障害者の強姦事件で、その責任を負うことができない
ので障害者を断種手術をしちゃおう」というものでした。
その法律が1996年まで続いていたのです。(つい最近です。)
まぁ、TVのドキュメンタリー番組で手術にいきさつが数々挙げられております。
沿革を申しますと、『優生保護法』に通ずる『母体保護法』ですが、
『優生保護法』の趣旨は「優れた人間だけ子孫を残すべきで、障害者や浮浪者など
は、子孫を残すべきではない。」ということですが、これをまず実践したのは
『ナチスドイツの「障害者・ユダヤ人」の虐殺』だと思いがちですが、
ナチスドイツは、この『優生保護法』をすでに実践していた、あのアメリカの
『優生保護法』をお手本にして大虐殺を行いました。
日本は戦後この法律を作ったときに「占領国のアメリカがやっているから」と
なんの疑問も挟まずやったのだろうと思います。
今、日本はあの「相模原障害者施設虐殺事件」を肯定する
「ネット上の顔の見えない下郎者たち」がいるのは残念な話しですが
下手をすると「歴史は繰り返される」ということにもなりかねない
という事なのかも知れません。

インタビューの部分が多いので本の厚さの割には、あっと言う間に読了しますよ。
ただ、腹が立つことこの上なし!!

ん~、この良書読まずに死ねるか!!
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立て続け! 読まずに死ねるか!!(書評)『虐待された少年はなぜ、事件をおこしたのか』

2019年10月06日 16時55分17秒 | 読まずに死ねるか!(書籍紹介)
著者の石井光太さんの文章は解りやすくて何冊目かになると思います(いい加減)
私の前説といたしまして、幼児・少年期という脳の発達期に継続的な虐待などを
受けた場合、脳の発達に影響を及ぼすと言われております。ハイ
 
取材は少年院から始まっております。
職員へのインタビューやNPO法人の自立施設の元薬物中毒患者の怖い施設長
へのインタビュー、もちろん非行少年少女へのインタビューもあります。
もちろん、本書は生育環境に問題があって非行に走ってしまったという事例を
集めて一冊の本にしてあるのだと思いますが、「親が薬物中毒者」、
「ネグレクト(育児放棄)家庭」、「親が暴力団員」などなどなのですが、
親の問題と一度非行(性非行を含む)に走ってその中で友人が出来るて
本人が更正しても心の緩みや社会から挫折した場合、意図もたやすく
『元の世界に戻りやすい環境』が出来ているということも問題です。
かといって、隔離するわけにもいきませんから、更正を目指す子供たちの人的環境
に非常に気を遣わなければいけない、ということを改めて感じました。

社会性・生育環境・広い世界観・更正するための人的環境

以上に上げたもの以外に精神科医の介入も欠かせないものだと思います。
今、各少年院などでは更正プログラムの一環として「SST(ソーシャルスキル
トレーニング)」を取り入れております(他にもあるのでしょうが・・・)。
今、よく書籍が出ていますが「認知行動療法」に基づいて「SST」があるわけです。
その他にも「社会的学習理論」も含まれます。ハイ

ちょっと、宣伝をいたしますと「認知行動療法」の要素を含んでいるものとして、
当事者研究」もあり、私が7,8年ほど携わらせていただいております。ハイ

本線からすっかり脱線してしまいましたが、少年たちの全体を通して感じたのは
「良き相談者」に欠けていることだとおもいましたね。
「個人主義」が言われ始めて少しばかり経ちますが、生涯を通して一人では
生きていけないのは自明の理であります。
あなたに「良き相談者」はいますか?








読まずに死ねるか!! 『記者たちの関西事件史』

2019年10月05日 22時39分03秒 | 読まずに死ねるか!(書籍紹介)
これは産経新聞社の関西における昭和54年~平成23年までの
自然災害や事件を記者たちはどのように接し、報道してきたかを
綴ったものです。
事件災害を少し上げてみますと・・・
〇三菱銀行立てこもり事件(梅川事件) 昭和54年
〇グリコ・森永事件 昭和59年
〇山口組四代目射殺事件 昭和59年
〇豊田商事会長刺殺事件 昭和56年
〇タイ航空機爆発事件 昭和61年
などなど・・・
この他にも今、マスコミに出ている許永中氏の「イトマン事件」や「阪神・淡路大震災」。
様々な事件災害が上げられております。
私個人としては幼いながらも覚えていたのは「グリコ・森永事件」。
私が大阪に居たときに揺れを体験した「阪神・淡路大震災」ですね。
まぁ、読んでいるときは思い出に耽る事はありませんでした。
「ちょっとこれは・・・」と思ったのが、『マスコミ至上主義』という臭いが
プンプンとしてきたことです。
私の個人的な意見ですが、マスコミは情報を得る「ツール」ですから、
それを「マスコミの情報に間違いは無いんだ!」てなことだと
こっちは興醒めしてしまいますわな・・・
この自信満々振りは産経新聞社だけではなくて
マスコミ全体に言えることだと思います。
マスコミよ増長するなかれ!!
 
 
 
 
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