今回も「被差別民」を扱った書籍です。
本書は全編に渡って対談形式で進んでいきます。
野間さんが聞き役、沖浦さんが答えるといった感じです。
内容は・・・(本書目次より)
第一章 日本の文化の深層に潜む<聖>と<賤>
第二章 国家宗教に反逆した聖の群れ
第三章 伝統的祝福芸と被差別民衆
第一章は私が過去に読んだいくつかの書籍でだいたいの知識はありまして
読み終わって印象に残るということは無かったのですが、第二章、第三章で取り上げられいる
「宗教」、「祝福芸」のところでは私の基礎知識にさらに上乗せしてくれるところとなりました。
まぁ、「宗教」でいえば、寺院で出家していない市井の僧である「私度僧(しどそう)」が
「乞食(こつじき/こじき)」をしたこと。これは現代の多くの解釈は「坊さんが物乞いしている」
といった感じでしょうが、「乞食(ここではコツジキと読むこととします。)」は
立派な僧としての修行でこのことによって徳を積むことが出来るんです。
特に釈迦(ブッダ)が存命の時の佛教である「原始仏教」のときには盛んに行われていたようです。
釈迦もやっていたんですよ。
まぁ、「大衆に降りた佛教」とでもいいましょうか。
その前まではいわゆる平安時代までの「貴族佛教」から平安後期から鎌倉時代にかけて
盛んになったいわゆる「鎌倉佛教」・・・法然、親鸞、日蓮などなどなどの「大衆佛教」に移ったことで
私度僧の活躍の場も広がり、それから広がった芸能に繋がっていくといえるでしょう。
被差別民が発端の芸能といえば「歌舞伎」、「猿楽(能)」でしょう。
今では大看板が「国の無形文化財(人間国宝)」っていわれて偉い違いです。
「歌舞伎」は河原踊りといって当初は女性のものだったのですが、
破廉恥な行為が目立つようになって、「女性禁制」になって男性だけになったようですが
男性になったはなったで美男役者が同じ男性の囲われものになったということも
あるようです。昔はことに男性同士の恋愛については大らかであったようです。
脱線しておりますが・・・
大衆芸能とくに路上でやるような芸能に関しては頭/車善七さらに上の頭/弾左衛門の配下になっていたようですが、
いろいろ苦情が出て配下から外れて独立していったようです。
ただ、に関しては幕末を迎えるまで弾左衛門の配下を逃れることは出来なかったようです。
この本、読まずに死ねるか!!