「うつせみ和尚」のお説教

『うつせみ和尚の日記』二件の事故が元で『(複雑性)PTSD/鬱』になって
闘病、障害当事者として活動している者です。

読まずに死ねるか!!(書評) 「『窃盗症 クレプトマニア』竹村道夫/吉岡隆 編著 中央法規出版」

2024年12月30日 13時19分48秒 | 読まずに死ねるか!(書籍紹介)
え~、物騒な書名です。
窃盗癖 クレプトマニア」ですって!
この本は必要に駆られてというか、「この世界は読んだことないな」と思い手に取りました。ザックリ言うと「依存症」に分類されるものです。自分ではどうすることも出来ない、コントロール不能といった状態に陥ってしまう。ここだけ取り上げても「依存症」ということがわかると思います。著者の一人である竹村道夫氏は『赤城高原ホスピタル院長京橋メンタルクリニック (それぞれのホームページへ移動します。)』の医師です。 ホームページにあるように「依存症」に特化した病院です。入院施設がある依存症病院はここしかない、と本書で語られています。おそらく精神科だけの病院で依存症のみ引き受ける病院ということだと思います。
本書にはこの病院に入院、通院の経験がある当事者の記事も載っています。多くの場合、「摂食障害」が原因であると書かれています。
一例を挙げるとダイエットなどを発端とした「食べては吐き出す」という繰り返しから「どうせ、吐くんだからお金を払って食料を買うなんてバカバカしい」ということで、食料を万引きしてしまう。成功体験を繰り返すたびに依存症の渦に呑み込まれてしまう。もう自分の力だけでは抜けられない。繰り返していく内の捕まってしまう。最初はお店の中で「もう二度床の店に来ません。盗みません。」という誓約書を書いて解き放ちとなるものの、抜けられない状況になっているので、別の店でまたほとぼりの冷めたときに以前に盗んだことのあるお店でまたやってしまう。最初は「お目こぼし」してもらうが「あんた、まただね」ということで警察のお世話になって、裁判に掛けられ保釈中や判決が執行猶予期間中に、また窃盗ということになる。理解ある裁判官だと2回、3回と繰り返しても執行猶予付きの裁決・・・。家族や弁護士が必死に探してこの病院につながるパターンが多いようです。
切っ掛けが「摂食障害」だけでなく、なんらかの理由で窃盗を起こし成功体験から、最初は必要なものを盗っていたものの、途中から「盗るために盗る」ということに変換されて、要らない物を盗りだす。自宅に使わない盗品で溢れかえっている、というのは窃盗で捕まった犯人の自宅を警察が入って押収したものを警察署で並べた報道はよく見ますよね。
しかし、病院につながらなくて刑務所につながる人の方が断然的に多い。「警察に捕まってほっとする」当事者も多いといいます。なぜか?それは自分で止められないから、第三者に強制的に止めてもらう他ないという意味です。
刑務所の一部では更正プログラムがあるようですが、極々一部の取り組みのようです。まだまだ「甘え」という意識が一般的な認識だと思います。

この「精神疾患」は、最後まで自覚がないという致命的なところがあります。自覚があれば、通院するわけで自覚がないので通院しないし繰り返してしまう。自助グループも各都道府県に最低一グループはあるようですが、自覚がないと、「私とグループのメンバーは違うんだ!」というわけで通わなくなるわけです。自覚があればこそのグループ参加ということです。窃盗症だけでなく、様々な精神疾患も同じで「私はこのメンバーとは違う」と拒否してしまう人は多く、どうにもならなくなってから自助グループに参加するパターンも多い。

自己理解ねぇ難しいですね。「健常者」と言われる人も自己理解していないのが大半なのにね。(

「窃盗症(癖)/クレプトマニア」の書籍は本当に少なくて、貴重な一冊だと思います。ちょっと手前味噌的な内容が玉にきずですが・・・。
論文とか探してみようかなと思っています。おそらく、専門的に取り組んでいる研究者や医師は少ないと思うので、本や論文を探しても同じ名前が挙がってくるように思います。

専門家、病院、支援者だけでなく一般の方にも読んでいただきたい、誤解を解くために。




ん~、この本読まずに死ねるか!




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読まずに死ねるか!! 「自閉症スペクトラム症-発達障害最新の理解と治療革命 岡田尊司 著 幻冬舎新書」

2024年12月24日 00時50分10秒 | 読まずに死ねるか!(書籍紹介)
岡田医師バンバン本書いてるなぁ~。岡田さんの本だけで何冊読んだことか。
(そんなに読んでないか?)
毎年冬場はよく本が読めますね。寒さで脳が締まってくるのかね?今は二週間に一冊ペースです。

以前は、岩波明氏の発達障害関係の本を二冊。他に一冊読んだかな?
なにせ精神疾患でブームになっているのは「発達障害」。その中でAD/HD、自閉症スペクトラム(ASD)、学習障害(LD)。この3つの要素が重なっている部分があったり離れている部分があったりするけど、単立はしないのか?
前提として精神障害は完治しません。残念ながら。
発達障害に限らず、生活しやすくするような配慮や本人の訓練が必要です。ですが、支援や配慮を断ったり、訓練を必要とせず周りを巻き込んでトラブルになったり...となると、きっかけや本人が一歩踏み出す必要はあるでしょうね。
家族関係を始めとする人間関係が元で鬱になったり、トラウマになる前に行動が必要ですが、おそらく多くの当事者は間に合っていないのではないかと思います。配慮や訓練が必要なのはわかりますが、そうなると本人に労働意欲があっても業種や職場は限られます。それと、そこにたどり着いたとしても、それが本当の意味の生産的な仕事と言えるのか?と疑問が湧いてきます。配慮となると上司だけでなく同僚にも病識や本人の特徴の共有は必須で、その中でも「合う/合わない」という健常者間でもあるようなトラブルは起きてくる。それを自身が裁くということは難しい。そこで事前に訓練が必要と言うことなんでしょう。
ASDとなるとなんらかの身体的な不具合が合併することが多いようで、本書で紹介されているのは「消化器系」「解毒能力」というような腸の不具合がセットになることが多いようです。
平衡感覚などについての簡単なトレーニング方法も紹介されていて、楽器の演奏や軽い運動など左右違う動きをするようなものが有効であると紹介されています。
読み進んで行くと、訓練もそうですが年齢と共に脳も変化していき、日常生活に支障を来さなくなるような例もあるようです。訓練で言うとアメリカの一般家庭の両親がASDの我が子のために親、当事者姉妹、ヘルパーなどと協力して、さらに独自の訓練方法を編み出して、青年になる頃には健常者と変わりない人生が送れるようになったと言うことが紹介されています。
※「カウフマン夫妻」の試み
繰り返しの訓練をすることが良いということらしいので、これを読んでいるとSST(ソーシャル・スキル・トレーニング)というのは、有効なんだろうなと感じます。そのことも本書で紹介されています。

私の疾患、PTSDもそうですが、積極的に治療法を探したり助言に耳を傾けることの重要さを感じます。そして、良いと思ったら根気よく続けること。「私は✕✕障害だから、迷惑かけても良いんだぁ!」というのは冗談で言ってもいいけど、自分でも必要な対処を考えていかなければならない、なぜなら自分の障害であり、自分の人生だからです。

グラッチェ!


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読まずに死ねるか!!(書評) 「面倒なので3冊まとめて書評」

2024年12月06日 19時02分28秒 | 読まずに死ねるか!(書籍紹介)
まぁ、「書評」と云っていますが、中途半端な小学生の感想文です。
技芸(アート)としてのカウンセリング入門  杉原保史 著 創元社
これは面白かった!以上!!
...というわけにいきませんので、感想ねこれニケ月ほど前なので記憶が曖昧ですが、もう一度パラパラと本を開き直しております。
何度か、カウンセリング関係の本を紹介していていますが、この本に関してはいろいろあるカウンセリングの学派を横断した本になります。本書の冒頭には「・・・私の考え方の顕著な特徴は、カウンセリングを技芸(アート)として見る見方にあります。・・・」カウンセラーの姿勢、聞く、応答する、理解、話すというような著者曰く「技芸(アート)」としながらも、私にとってはカウンセリングの王道と感じました。具体例や分かりやすい文面で書いてあるので、今後読み直していきたい本です。

心理学とは何なのか-人間を理解するために- 永田良昭 著 中公新書
私の体調不良もあってか終始馴染まずに読了した感じ。
最初に「心理学は占いではない」や「血液型性格判断否定」、さまざまな実験検証などの例を引きながら進められているのですが、「むずっ!」「頭に入ってこない」と苦痛に感じながら終わりましたとさチャンチャン。

北条氏の時代 本郷和人 著 文春新書
本郷先生の本は二冊目?ではありませんでした。以前に読んでいたのは、「頼朝と義時 呉座勇一 著 講談社現代新書」でした。同じ鎌倉物ですが本郷さんも専門は鎌倉時代。以前、放送大学で先輩の先生から専門外の時代の講義を当てられて、冒頭で「ぼくの専門では無い!」と言ってから講義されてました(笑)
本書は初代執権北条時政~最後の北条高時まで書かれていて、特に印象に残ったのは、独特のライバル排除法や実権を握りながら「将軍」にならなかった。枝分かれする北条分家と本流の「得宗家」との関わり。そしてなぜ北条高時の代に鎌倉幕府は滅んだのか?などなど、本郷さん独特の語り口で書いてあってあれよあれよという間に読了してしまいました。

カウンセリングの本を最近よく読んでいますが、友人と話しをしているときは「心を探ってやろう」とは思っておりません。そんなことしてたら心の安まる時間がありません(笑)
現在は、「被差別民関連本」、「精神医学系」、「カウンセリング系」の三本立てで読み進めております。だいたい三冊くらいを廻し読みするのが通常運転。以前は4冊、5冊を同時に読んでいた時期もありましたが、あまり時間も無いので、今は三冊で。




ん~、読まずに死ねるか!!








読まずに死ねるか!! 「『ヒステリー研究』岩崎書店 ジークムント・フロイト著」

2024年10月02日 22時44分24秒 | 読まずに死ねるか!(書籍紹介)

来ましたねぇー、フロイトの季節が!(なに?)
ここでいう「ヒステリー」は、解離性障害のことですが、フロイトの特徴は「催眠療法」です。催眠をかけて話しかけて聞き出したりという試みです。
...とはいうものの、本書には催眠がかからなかったり、それまでに至らなかったり、というような「失敗」も書かれています。ヒステリー=解離性障害は、解離性同一性障害と違い別人格が出てくるのではなく、「自分を港としてちょっと離れたり、今の自分の環境と違う体験をする(様な感じがする)」ということで、解離性同一性障害(一般的に多重人格と言われるのの)とは違います。なんというか、嫌な思いがぶり返したり、そこから離れたいと思ったりという複雑な障害と言えるのではないかと思います。(その中には「離人症」も含まれるのかと思います)その延長線に「解離性同一性障害」もあるのかと思います。
全て口語で書かれていますが、最初は「こんなもんに手を出してどうすんの?」と思いつつ、通勤電車で読んでいました。もちろん、「今日は読めない」という日も。
大学図書館で借りたのですが、大学の夏季休暇もあって通常学外の者は2週間のところを1ヶ月借りれたのは大きい。なにせ「遅読家」ですので。
現代では否定されている部分も、また取り入れられている部分もあり「古典の名著」といったところでしょうかね?
今回は「フロイト全集2」なのですが、あとの全集は読むかな?
まっ、機会があれば(後ろ向き回答)。

最近、目の調子が悪くて(特に右眼)読書が難しいながらも眼科に行ったり、眼鏡を買い換えたり必死でございます。(右眼は深刻な異常ございません)



ん~、この本読まずに死ねるか!!




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読まずに死ねるか!(書籍紹介) 「『心理療法・失敗例の臨床研究ーその予防と治療関係の立て直し方』 岩壁茂 著 金剛出版」

2024年08月02日 18時32分53秒 | 読まずに死ねるか!(書籍紹介)
えー、題名が長い。
著者の岩壁さんは現役立命館大学教授だそうです。
本書はカウンセラーのつまずきや失敗の例をいくつか挙げて、どこが失敗の元なのか?どうすれば良かったのか?を挙げているいる本で視点が面白い。海外にはこの手の本はあるようですが、日本で今まであったのかな?
専門書の部類に入る本なので309ページで¥4200-。別に量じゃないけどね。スーパーで野菜買っているわけじゃから...。出版社の金剛出版も専門書を出版している会社です。他にも精神医学系の月刊誌なんかも出しています。どちらにせよ高い。
この本の帯の文句が良い!「学派・流派を問わず、心理療法を磨き続ける人たちへ贈る 名著」としてあります。我が意を得たりって感じです。
内容の肝は「ベースの知識は必要。だが、カウンセリングをする際にカウンセラー中心になることは禁物」、「技術にこだわるな」、「つまずきは誰にもある」云々。経験を積むことが大事で、経験の中にはもちろん失敗も含まれるわけで前向きに失敗を受け入れるという感じでしょうかね。
カウンセラーも医師、特に精神科医と同じで初診の患者が二回目に現れない確率が非常に高いということ。業界ではあるある話しですね。HPで「~障害、~症の実績アリ」って誇らしげに書いてあっても患者は「なまもの」ですから、今まで来た同病名の患者でも同じ手法で成功するとは限らない。逆にいうと同じ手が通用するという考えはやめた方が良いでしょうね。
カウンセラーも精神科医も自分も精神疾患に近いものであったりする人もいるから、二回目に来なかったり、途中でドロップアウトしてこなかったり、口論してしまうことも時々聞くお話です。

キーワードとしては「スパーバイザー」「スーパーヴィジョン」「セルフケア」

私の場合、テクニックもないしカウンセリングを学んだわけでは無い。この手の本を読んでも果たして身につくのか分からないけどね。
以前のブログ記事「うつせみ精神世界への誘い 「『素人の付け焼き刃』学も無いのに専門書を読むことについて」」にも書きましたが、自分が読むのは違和感がありますがね。専門家からは「おめぇなんか読んだって変わらねぇよ」というご批判は甘んじてお受けいたします。
殴るかもしれませんが(笑)

その実、ピアカウンセラーという枠から脱したいという気持ちはあります。「ピア」という価値を持ちながらと言う方が正確かな?ピアカウンセラーというと、「だってピアカウンセリングでしょ」、「聞くだけでしょ」っていう評価は多いし、それが共通認識みたいになってる。カウンセリングとは言いながら、カウンセリングの枠外にあるような位置。それは一所懸命にやっている人には失礼な発言ですよね。
私が一所懸命にやっているかは評価を待ちたいと思います。
評価が悪かったら殴るかもしれませんが(連呼)


良書、良書。


読まずに死ねるか!