服部千春さまの『ママは十二さい』。
診察の合間にはまり込んで読んでいたら(間隔を開けて患者さんを呼ぶので待ち時間が1-2分ある)、
かわいい女の子が「いいなあ」という目でのぞき込んでくれました。
いや、読み終わるまでは見せません。面白いから。
だってこの本、SFファンタジーなんですよ。
そして表紙の絵のかわいさ、とろけますよ。
しかも売れっ子作家さんの服部千春さまだったらありだなあという設定。
副題は、① ご祈祷の願い事
② わたせなかったチョコレート
六年生のまどかのママは売れっ子児童書作家。
でも「十二さいの恋」がテーマの依頼を受けて書けず「ううーっ」と呻り続けている。
初詣に八幡神社でご祈祷をうけ、
「いっそのこと、わたしを十二さいにしてください」なんて願ったママは、
御神酒を飲み尽くしたら、よく朝、十二さいになっていたという……。
姿だけはとびきり可愛いが中身は四十歳のママって。
しかも、イトコの「白川ほのか」としてまどかと同級生になっちゃうなんて。
それを秘密にしてイトコ同志として過ごさなきゃいけないまどかの大変さたるや。
とにかく、中身四十歳のママと十二歳のまどかのやりとりが秀逸。
付箋いっぱいになったなかで最高の場所が、②の15ページ。
まどかが、片思いしていた渡さんの彼女に「かわいい」、と言われて
まどかが「なんでこんなにモヤモヤした気分になってしまうんだろう」とため息をつくと、ママが言う
「それは大人っぽいカノジョさんにたいする、劣等感でもあり、敗北感でもあるよね。
そして自分の小ささに直面して、どうしようもなく、うちのめされた気持ちになってしまうものなのよ。」
「…………」
そんなふうに、わたしの、まだわけのわからない、形にならない感情を、きちんと文章化しないでほしい。
まどかのこのツッコミに恐れ入った。
まどかがU15文学賞優秀賞を獲ったのも納得。
つまりこの作品は「作家」的なものがてんこもりになった、私たちが読んでも最高に楽しい本なのであります。
まだまだたくさんの伏線があって、今後の展開が楽しみ。
服部千春さま、ますますのご健筆を!
読んでいるとメモが増えるのはいつものこと。
これ、やっぱり、最高だな。
今日は仕事納めで、夜は小児救急当番。
今日もびよよよ〜〜ん (*^ __ ^*)