公衆衛生の第一人者であるハンス・ロスリングと、その息子夫婦による著書。
Kindle版で手に入れて、去年読んでいた。
今、新型コロナのアウトブレイクへの対応が急務になっているなか、
きっと何か役に立つことが書かれているのではと、読み直してみた。
(ブツブツと長いのでお忙しい方はスルーしてください)
2014年、西アフリカでエボラが流行したときのことが書かれている。
……危機が差し迫っていると感じたら、最初にやるべきなのはオオカミが来たと叫ぶことではなく、データを整理することだ。誰もが驚いたことに、集計されたデータを見ると、感染が確認された人の数は2週間前にピークを打ち、それ以降は減っていた。逆に、感染の疑いのある人の数は増えていた。一方、現場ではリベリアの人たちの習慣を変えることに成功し、人々は必要のない接触を避けるようになっていた。握手もハグもしなくなっていたのだ。生活習慣の変化に加えて、店舗、公共の建物、救急車、病院、葬儀場、それ以外のあらゆる場所で衛生管理を徹底したことの効き目が出始めていた。対策は効いていた。でも、オーラがその表を送ってくれるまで、誰もそれに気づいていなかった……
モザンビークのナカラで医師として働いていた博士は、自らの「焦りゆえの失敗談」も書いている。
ナカラの町に麻痺や失明に至る原因不明の患者が一気に数百人も出て、
流行を阻止せねばと焦り、「感染症も否定できないからナカラを閉鎖すべき」と市長に提言した。
その結果、行商に行くバスに乗れなかった子どもが船に乗り、船は難破してみな溺れてしまったとのこと。
結局その病気は毒抜きが不十分なキャッサバを食べたことが原因だったが、
身をもって知った「焦る」ことの危険性を博士は強く説いている。
……感染症の専門家のあいだではいまも、
新種のインフルエンザが最大の脅威だというのは共通の認識になっている。
その理由は、インフルエンザの感染経路にある。
インフルエンザウィルスは目に見えない粒子になって飛沫感染する。
感染者が地下鉄に乗ると、同じ車両の人は全員感染する可能性がある。
接触しなくても感染するし、同じ場所に触らなくても感染する。
あっという間に広がるインフルエンザのような感染症は、
エボラやHIV・エイズのような病気よりもはるかに大きな脅威になる。
感染力が強くどんな対策も効かないウィルスからあらゆる手で自分たちを守ることは、
あたりまえだがかなり重要だ……
……どこかで感染症が猛威をふるったときには、データが鍵になるはずだ。
だからデータそのものの信頼性と、
データを計測し発表する人たちの信頼性を守ることが、とても大切になる。
わたしたちはデータを使って真実を語らなければならない。
たとえ善意からだとしても、拙速に行動を呼びかけてはいけない……
まさに新型コロナはこのような大きな脅威になる感染症。
あっというまに拡がり、軽症例も多いがゆえに全体の把握が難しい。
しかもインフルより潜伏期が長く、完全な隔離も非現実的。
そして新型コロナの感染者数や死亡者数のデータは出ているが、
インフルエンザ対策と同じで良いのかどうかのデータは出ていない。
これを見ると、中国の死亡者数はまだ増加中。
ウィルスが中国全土に広まって全体が免疫をもつか、
気温が上がってウィルス生存の適温ではなくなるか、
あるいは有効な治療薬が使われるようになるか、
こちらを見ると、韓国ではすでに数万のPCR検査実施済みと言われているのに、
日本ではまだ一日1000件ほどの検査しかできていない。
そして、韓国、日本、イタリアではすでに流行期=市中感染症になっている可能性が。
今、近隣の保育園でノロが流行中。
外来の待合や診察室で吐いちゃう子も毎日のようにいる。
でも、スタッフで罹るものは少ない。
ノロウィルスはエンベロープを持たない小さいウィルスだからアルコールは効かない。
吐いたあとは皆で一斉に片付けてハイター消毒、しばらく全部の窓を開けて換気している。
ノロ予防には、手洗い・消毒そして換気が重要だってわかっているから。
同じ事がきっと今回の新型コロナでも何かあるはず。
まずはノロやインフルと同じような対応をするしかないんだけれど。
リンのことその他でなかなか創作に気持ちがシフトしない。
まあ、こういう時もあるよね。
今日もびよよよ〜〜ん (*^ __ ^*)