私は自己流の俳句を恥を掻きながら書いて来たが、技法を反省するべく、打表的な切れ字として「や、かな、けり」などの切れ字は、俳句の代名詞であり、切れ字の力や効果の大きさは無視できない、俳句の表現方法であることに気がついた。其の例一(や)「古池や蛙とび込む水の音 芭蕉」。「秋風や模様のちがふ皿二つ。原 石鼎」。これらは上五に「や」を置き、下五(座五)を名詞で結んでいる。響きが強い「や」で、直感的な感慨を大きく掴んでいる。そこでひと呼吸置く事により、中七、下五へ、より具象化された表現へと繫がつていくのである。その例二、「ひつぱれる糸まつすぐ(や)甲虫 高野素十。火を投げし如くに雲(や)朴の花。野見山朱鳥」。中七に「や」を置くと、やや古い形にることは否ず、近頃はそれほど多く用いられないが下五の「甲虫;朴の花」を鮮やかに導き出す「や」なのである。「かな;けり」朝顔の紺のかなたの月日かな 石田波郷」「白靴に日の飛んでくる歩みかな 嶋田一歩」かな;けり、は詠嘆の切れ字で、くどくど説明せずに余韻と広がりを生み出す。この様に切れ字は俳句形式のもつ独特のもので、切れ字が一句にどのような効果をもあらすか、その必然性を把握したうえで用いた俳句の表現法を考慮したい。
タニウツギ;忍冬の花(スイカズラ科)花言葉は、豊麗。各地の山野や路傍に生える蔓性半常緑で、庭にも植えられる。蔓は細長く他のものに絡んで伸び、長さ4~5mになる。葉は長さ約5cmの長楕円形で対生する。5~7月、葉の脇に細長い筒形二唇形の花が二個ずつ並んで咲く。長さ3~5cm、芳香がある。花色は初め白だが、後、黄色に変わるので「金銀花」ともいう。「すいかずら」は「吸葛」で、子供がこの花の蜜を吸って遊んだから、また蜜を吸う時の唇の形に花冠が似ているからともいう。葉が冬でも落葉しないので、中国名「忍冬」他に、金銀花、竜爪花ともいう。「忍冬の花のこぼせる言葉かな 後藤比奈夫」「忍冬乙女ら森を恋来たり 堀口星眠」「忍冬のだらだら咲きのはじまりぬ 星野麦丘人」「忍冬の花うちからむくまでかな 白 雄」「忍冬の花折もちてほの暗し 後藤夜半」「忍冬一連風に漂へる 今井つる女」。(咲きみちて 零るゝほどの 忍冬 ケイスケ)