ハルリンドウ(リンドウ科)花言葉は、高貴。山野の日当たりの良い場所に自生して可憐な花をつける。清少納言は『枕草子』に、「竜胆は枝さしなどもむつかしけれど、異花どもみな霜枯れたるに、いとはなやかな色合ひにてさし出たる、いとおかし」とこの花だけが秋の遅くまで咲き誇るさまを書きとめている。リンドウの名は、漢名竜胆の訛ったもので、竜葵(イヌホウズキ)に葉が似ていて、しかも根が肝のように苦いことに由来し、古い時代に使われた和名衣也美久佐(エヤミグサ)は病のときに薬になる草という意味であった。ともに薬草としての名称で、この根は主に健胃剤として使われる。欧州のアルプス地方に自生する竜胆はゲンチアナ.ルテアといい、同様に薬用にするという。ただし花は黄色、草丈は人の背を越すほどに伸び、根も巨大である。「竜胆の花ふまれあい狩の場 山口誓子」「竜胆や嶺にあっまる岩の尾根 水原秋桜子」「竜胆を見る眼かえすや露の中 飯田蛇笏」。