シオン;紫苑;しおに;鬼の醜草;キク科。花言葉は追憶;遠くの人を思う。キク科の多年草で、アジア北東部と西日本に自生していた。茎は直立し、人の背丈以上にまで伸びる。秋になると茎の上部が分枝して、菊のような淡紫色のは花を多数つける。風に吹かれても倒れることなく、秋の庭でひときわ目立つ花である。紫苑にまつわる話は多く、「もの忘れクサ」とも」「うれさを忘るる草」すなはち「わすれ草」ともいわれた。「鬼の醜草」の異名は古くから知られているが、その由来は定香ではない。楠より四五寸高きしおをにかな 一 茶」「乙鳥の行く空見する紫苑かな 道彦」「寝冷えせし宿や紫苑の片なびき 乙 二」「夕空や紫苑にかゝる山の影 閑 斎」「紫苑といふ花の古風を愛すかな 富安風生」「紫苑にはいつも風あり遠く見て 山口青邨」「紫苑ゆらす風青空になりにけり 阿部みどり女」「隣り家紫苑のさかり我が家も 三橋鷹女」「石垣の上に紫苑と兜屋根 滝 春一」「病家族あげて紫苑に潅がるゝ 石田波郷」「頂きに蜥蜴のをる紫苑哉 上野 泰」「門なくて紫苑の高き仮寓かな 森田 峠」「ゆるるともあつむことなき紫苑かな 下村梅子」「ゆうぐれに摘んで紫苑を栞とす 折笠美秋」「古書店の鉄の花瓶に今朝紫苑 小田切輝雄」「沼舟の雫うすれゆく紫苑かな 七田谷まり臼」「丈高く群れて紫苑の色あわき 八木下 巌」。(久方に小雨を浴びた紫苑かな ケイスケ)