心の色を探して

自分探しの日々 つまづいたり、奮起したり。
マウス画・絵及び文章の著作権は このブログ作者(けい)にあります。

笑顔が可愛い

2015年07月28日 | 母のこと
昨日は しばらくぶりの病院付き添い。母は今 整形外科と第一内科 第二内科に主にかかっているが、その第二内科に通うきっかけを作ってくれたのが整形外科だった。今は退職されてしまった先生が 母に第二内科を紹介してくださったのだ。リュウマチに良い効果があるのではないかということでそちらに行くことに。
最初は 自宅での注射にとても戸惑いを覚えたものだ。いまだかつて 母も私も注射をするという行為はしたことがなかったし、どちらかというとそれはとてもとても苦手なものだという意識があった。
だが、わたしはそのときどういうわけか自分でも出来る!と思った。母が不安を隠せないように 「お前が注射できるのか?」と何度も言ったのを今でも思い出す。

その注射が一年以上続き 昨年 担当の先生が新しい注射を紹介してくださった。針先を気にせずに直角に当てるだけで注射ができるという代物だった。それまで針先の位置に手間取っていたわたしとしては渡りに船 というか・・・喜んでそっちに替えてもらった。
ところが、逆にわたしにとってはその新しい注射は扱いにくいものだった。何度やっても刺さらない。母とふたり悪戦苦闘してやっていた。時間もかかった。

数か月過ぎた頃 診察に訪れた時に 先生が注射がしやすいような物があると紹介してくれた。それは注射針の先に固定する道具だった。恐る恐る使ってみたら なんとあんなに何度も刺して出来なかったものが一度で出来るではないか!二人で喜んだ。そのうち わたしがやっていた注射を母がひとりでやってみると言いだし・・・今ではわたしがいなくてもひとりでさっさとやっている。刺す位置の順番さえ間違えなければ しっかり自分で管理できるようになった。

昨日 診察時に 四月の採血結果よりもずいぶん良い結果が出ていたので 担当の先生がなんだか嬉しそうな顔をしていた。効果が表れていると確信するのは患者も先生も嬉しいものだ。そのとき 母が
「先生、あのずっと言いたかったんだけど・・・前に先生が教えてくれた注射の道具だけど、あれ たいした助かってます。すごく良くて前は何度もやっていたのがたった一度で出来るんです」
というと 先生が
「そうか!それは良かった!作ってくれた人もすごく喜ぶなあ」
と 思いがけずすごく喜んでくれた。そして母がさらに
「あれだと自分でも出来るんです」
と言うと、先生は本当にびっくりした顔で
「何 自分で打ってるのか?それはすごい。なんと それは良かった!あれを作ったのは文房具を作る人なんだよ。教えてやらないとなあ」
と まるで子供のように嬉しさを前面に出して喜んでくれた。
それを見た母も私も なんだかすごく嬉しくなって。看護士さんもニコニコ。診察室がとても和やかな雰囲気に包まれた。あんなに素直に喜びを表す先生もいないなと戻りながら 母と話していた。以前から患者さんに辛辣な言葉で言うと非難されていると母が見聞きしていた先生だが 母に言わせると
「正直な先生だから ダメなところはダメと言うんだろ。今日の先生を見ていればわかるな。嬉しいことは本当に嬉しいと自分の感情に素直なんだよ。今日 話して良かったなぁ」
ということだった。わたしも今まで診察付き添いをしてきて 昨日の先生ほどの反応に出会ったことはなかったので とても新鮮で嬉しかった。自分が良しとして治療を勧めてきた結果が良かったら 素直に喜ぶ それって患者の方も嬉しいことなんだよね。

昨日は ずっと何度も 母と先生の反応について思い出していた。思い出すたびに なんだか笑顔になってしまう。子どものように喜んだ先生の姿に ある種の感動を覚えた二人だった。