帯に中高年が・・・って書いていたのですよ。
でね、何が中高年なのよって思いながら読み始めたわけです。
主人公は警察を定年退職。お遍路さんをしたいと妻に言うと妻も同行したいと言う。
そこで妻と二人でお遍路さんを始めるのですね。
なぜお遍路さんをしたかったかということはおいおい出てくるのですが。この小説、サスペンスとか警察小説とか刑事物とかという範疇で読みたいと思ったら、ちょっと違うのです。
わたしは最初手にしたときには刑事物だろうなと思って購入したわけで、それがなぜ中高年が感動する? という帯になっているのかと不思議に思ったのです。
でも、やっぱり帯に書くだけのことはありました。
そうだったのねって。
サスペンスを期待して読んだらだめかな。もっと深いよ。そんな気分になっています、最後には。
途中、あぁ次はこう動くだろうなと推察できる部分はあったけど、それでも主人公の意志の強さに惹かれてしまう。
わたしには出来ないなって。どこかで諦めてしまうだろうなって。
そんな自分には出来ないことへの賞賛めいたものが最後にはあってね。
退職した警察官の長年心にわだかまっていたもの、それがある事件で沸々とわき上がってくる。見逃してはならない。第三の犠牲者を出してはならない。そのことだけが彼を正義から目をそらさなかった。
お遍路さんの道中知り合う人々との交流にもまた事件に向き合う彼に与えるものがある。
どう生かすか、出会いをどう生かすか、小説を書くということはこういうことなんだなといたく感銘した次第。
『慈雨』というタイトルが、凄くマッチしていてタイトルの付け方もまたすごいなと。
全編に天候のことが節々に書かれている。それが最後には慈雨という形で結集されている気がした。
主人公の目線で書かれていることは書かれているけど、この人にこの妻あり、といった感じがあって、この人にとってかけがいのない妻なんだなあと、ふたりの心の交流が描かれている部分にも惹かれるものがある。
読後感がなんともいえず爽やかであり、そして心に強く残った。早速読書好きな叔母に持っていって「ぜひ読んで見て♪」と勧めてきた。
結月裕子さん、いい仕事していますね。
でね、何が中高年なのよって思いながら読み始めたわけです。
主人公は警察を定年退職。お遍路さんをしたいと妻に言うと妻も同行したいと言う。
そこで妻と二人でお遍路さんを始めるのですね。
なぜお遍路さんをしたかったかということはおいおい出てくるのですが。この小説、サスペンスとか警察小説とか刑事物とかという範疇で読みたいと思ったら、ちょっと違うのです。
わたしは最初手にしたときには刑事物だろうなと思って購入したわけで、それがなぜ中高年が感動する? という帯になっているのかと不思議に思ったのです。
でも、やっぱり帯に書くだけのことはありました。
そうだったのねって。
サスペンスを期待して読んだらだめかな。もっと深いよ。そんな気分になっています、最後には。
途中、あぁ次はこう動くだろうなと推察できる部分はあったけど、それでも主人公の意志の強さに惹かれてしまう。
わたしには出来ないなって。どこかで諦めてしまうだろうなって。
そんな自分には出来ないことへの賞賛めいたものが最後にはあってね。
退職した警察官の長年心にわだかまっていたもの、それがある事件で沸々とわき上がってくる。見逃してはならない。第三の犠牲者を出してはならない。そのことだけが彼を正義から目をそらさなかった。
お遍路さんの道中知り合う人々との交流にもまた事件に向き合う彼に与えるものがある。
どう生かすか、出会いをどう生かすか、小説を書くということはこういうことなんだなといたく感銘した次第。
『慈雨』というタイトルが、凄くマッチしていてタイトルの付け方もまたすごいなと。
全編に天候のことが節々に書かれている。それが最後には慈雨という形で結集されている気がした。
主人公の目線で書かれていることは書かれているけど、この人にこの妻あり、といった感じがあって、この人にとってかけがいのない妻なんだなあと、ふたりの心の交流が描かれている部分にも惹かれるものがある。
読後感がなんともいえず爽やかであり、そして心に強く残った。早速読書好きな叔母に持っていって「ぜひ読んで見て♪」と勧めてきた。
結月裕子さん、いい仕事していますね。