私がビリヤードキューのジョイント
ねじのタイプで18山が好きな理由
はひとつ。
TADが使っているからだ。
TADが使う理由も一つ。墨守。
それである。
5/16-18山はかつてはアメリカで
は一般的な普及したネジ山だった。
アメ車やハーレーなど乗る人は
多分馴染み深い事だろう。
だが、ユニファイ7/16-14山では
なく5/16-14山というレアな
ジョイントピンを採用して
変化球を投げて来たのが
キュー作りの超御大だった
ので、誰もが5/16-14山に
右へ倣えした。
従前通りに18山を使い続けて
いるのはTADコハラはじめ僅か
となったのが1960年代中期以降
のアメリカンプールキューの
趨勢だった。
ウイリー・モスコーニが主催
するビリヤード教室の備え付け
キューを作っていたTADコハラ
は、頑なに従前の普及して
いたアメリカで一般的だった
18山にこだわった。
私が18山が好きなのは、TADさん
がこだわったねじピッチ寸法だか
らである。
一番回転数を多く回さないと結合
できないねじ。
だが、キューを繋ぐ時そのものも、
それは一つの儀式となる。
映画『ハスラー2』(1986)では、
トム・クルーズは片手でシャフト
を回してねじを締めていたが、
私は両手を使い、キューを垂直に
立てて、ゆっくりと回転させて
シャフトとバットを繋ぐ。
結合も分離も、一つの作法のよう
な儀式なのだ。
そして、それには、TADコハラが
こだわり抜いた18山の手間のかか
るねじが相応しい。
クイックリリースなどは、私から
すると番外の論外だ。
なお、キューメーカーが多種多様
なネジを採用したのは、それは
自社製品しか使えなくさせる事が
主目的である。性能云々の宣伝
コピーなどは構造物の内実には
一切関係ない。
典型例がバラブシュカの5/16-14
山の特殊ネジであり、ビル・ス
トラウドが突然採用したジョス・
ウエストでの特殊台形ネジだ。
また、日本のアダムなども自社
独自の特殊ネジを多く出した。
ツインジョイント等。
他メーカー、ビルダーもそう。
自分のところの製品を自社製品
としか互換性がないように設え
た。
これらは、性能云々の宣伝文句
とは関係なく、企業的な主目的
は他のメーカーや作者とのシャ
フトとの互換性を捨象するのが
目的だ。
つまり、産業界でよく使われる
「他社製品との差別化」という
区別をして企業間の製品互換性
を排除するのである。過当競争
が存在する産業界には大昔から
よくある手法。
企業の目的は利益を生む事なの
で、利潤追求の為に他社製品と
の色分けを前面に出す事で権益
を確保するのが主目的なのであ
る。経済の中での資本主義的企
業体の利益追求の指針は常にこ
れに沿って動いている。
また、一方、ビリヤードキュー
のネジの種類による道具として
の性能の如何については、世界
中誰一人として、科学的な比較
検証などしていない。宣伝文句
のみが独り歩きしているだけだ。
とどのつまりは、ねじの選択の
判断軸は、その道具の使用者の
好みが主軸となる。論理的に。
私はジョイントピンは18山が好き
である。