渓流詩人の徒然日記

知恵の浅い僕らは僕らの所有でないところの時の中を迷う(パンセ) 渓流詩人の徒然日記 ~since May, 2003~

ブッシュクラフト&キャンピングナイフ

2020年12月09日 | open






今年もいろいろなナイフを実際に使って
みた。
今年一番の収穫は出所不明の謎のナイフ
ALTEMAがとんでもなく性能が良かった
だ。

これは「良いナイフ」だった。


箱出しでは切先も尖っていなかったので
研ぎ上げて尖らせた。


フクラ部分のカーブのRもデコボコだった
し、変な直線も混じっていたので、これ程
まで刃を引いて整形した。


その後、平地の肉(しし)を落とし、バラ
ンスよく研いで刃をつけた。


カミソリのように切れる。


リアルスチールのブッシュクラフトプラス
よりも格段に使い易いという出所不明の
謎のナイフだ。これは良い拾い物だった。


ブッシュクラフトに特化されたナイフ3本。


真ん中のガルダリクは名称がアニメの
ファンタジーだが、かなり実力はある。
しかし、フラットグラインドであるので、
薪割りには向かない。


この3本はどれもブックラナイフともいえ
るのだが、性能はALTEMAが頭抜けてい
る。


信頼の大型ナイフは何年経とうが、この
フィンランドの軍用プーッコだ。
これは炭素鋼のため、とんでもなく切れ
る。
ブレードの製造はマルティーニだろう。


だが、一番「切れ味」も「切り味」も
突き抜けているのは、このフィンランド
のマルティーニだった。
背筋が冷たくなる程の切れ味。
本年度の「ベストパフォーマンス賞」は
このマルティーニに贈りたい。
日本ならばD2(SKD11)に相当するセミ
ステンレス鋼であり、高硬度だ。HRc61。


そして、本年度「永久保存で賞」はこの
日本刀研磨師が製作したカスタムナイフ
だ。
ロックウェル67。日本刀なみに硬い。
粉末ステンレス鋼だ。
ただ、綺麗過ぎてガンガン使うのがため
らわれる。物自体は極めて良い。
でもカスタムモデルなので、ファクトリー
ナイフと並べての判断はできない。根本
からして別物。


帯びてもビタリと決まる。


このあたりはナイフ単体でしか物を発想
しない製作者とは大きく異なる。日本刀
の刀職が手がけるナイフは、限りなく日本
刀の持つ良質性を洋式ナイフにさえ含んで
る。日本刀を知らないナイフ作者は、
自信満々でナイフを作ってドヤ顔していて
も鎬のラインが歪んでいたりして、日本
刀の世界の視点からすると、話にならない
物を世に出して、本人は気づかないが恥を
かいていることがある。日本刀の世界と
削り屋ナイフはレベルが雲泥の差があるの
ではあるが、日本刀についても、ナイフ
そのものについても、慢心せずに研究して
いる製作者は、やはり隙の無いナイフ、
乱れのない日本刀を作る。
私はこれは技術よりも心の問題かと思って
いる。
心が真っ直ぐでなく、根性が歪んでひね
くれている者は、自分の作のラインの歪み
さえも感知できないのだ。
甘いのだ。自分に。
ゆえに他人に対して横柄に振る舞う。
傲慢人間が作る作は、作品にその不遜で
意地汚さが出る。
日本刀の世界ではそれを見抜く。
そして、そうした悪しき質性が薄い作を
「真面目な刀」と呼んでいる。
ナイフの世界は、そこまでの厳しい目に
さらされないので、自分に甘く傲岸不遜
になる作者が多いようだ。
日本刀でも、俺様大将をかましている刀工
の作は、その人間と同じく中身無しでスカ
作であるのが定番だ。ただのオブジェの
こけおどし。

このナイフは、そうした「ナイフ専門の
作者に多い悪しき点」は見つけられない。
細かい造形まで考え抜かれている。
仕上げにやや粗いところがあるにはある
が、ナイフ専門作者と比肩しても著しい
落ち度とはならない。


本年度のベストオブベスト。
新作ベストオブイヤーはこれ。
良い出会いを友は与えてくれた。
感謝にたえない。




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