吉永小百合 2作品/
「キューポラのある街」
「愛と死をみつめて」/
昭和レトロ/ネタバレあり注意/
シネマプロムナード
どちらの作品も名作。
ただ、戦後の日本人全体が
苦しかった(ごく一部の富
裕層を除いて)世相を如実
に描いている社会派映画な
ので、観ていて胸がしめつ
けられる。
だが、こうした映像描写か
ら日本人たちが目を逸らさ
ずに、現実を見て、前を向
いて生きようとしていた時
代の映画作品だ。
物事を見てみないふりをせ
ず、しっかりと生き抜いた
私たち日本人の戦後の先達
たちによって、今の私たち
の暮らしがある。
多くの国民を護る社会制度
は、そうした国民自身の大
衆的な働きかけによって成
立し、国民の命と生活を保
障する流れとなった。
戦後日本の民主主義はそう
して手探りで育ってきた。
とりわけ、学童生徒や貧困
層への福祉、医療制度の改
革などは、革新的国民労働
者が骨を折って働きかける
運動をしたから制度が確立
し、育成されて来た。
そうした戦後の日本の民主
主義者たちと現代に続くそ
の流れを汲む人々をアカと
かサヨとか侮蔑的に罵倒す
る事に終始する日本の戦後
の歴史を知らぬ現代若者た
ちは、全員医療保険などは
使わずに全学自費で治療を
受ければよいし、資本家に
不当に首を切られようがパ
ワハラで自殺者が何人でよ
うが、自分がその自殺予備
対象者になろうが黙ってい
ればいいし、義務教育さえ
も拒否して受けなければい
い。
そして、もし戦争が開始さ
れたら、真っ先に推奨して
いた自分が行って死んでく
ればいい。
戦後の平和日本を作った日
本人たちとその流れを罵倒
する連中の発想の行きつく
先は、自分で自分の首を絞
めるそういう事になる。
自分の事だけ、自分の利害
や利益のみ考える者の行き
つく先はそれだ。
でもそれでは駄目なんだ。
同じ同胞であり、同じ地球
に住む同じ人間なのだから。