写真上段の鍵盤、名前をmini-moogといいます。
僕の持っている数十台のキーボードの中でも、おそらく一番歴史的価値の高い楽器だと思います。現在のシンセサイザーの原型とも言われてます。(最近「moog」という映画も上映されましたね。)まぁ鳥で言えば始祖鳥、車で言えばダイハツミゼット、漫画で言えばのらくろ、TVゲームで言えばテニスゲーム、と言えばわかり易いでしょうか。(完璧に年代限定の例えです。ナウいヤングは要注意)。
誰が弾いても、音楽になる。・・・とまでは言いませんが、でも当たらずも遠からず。そのくらい、音色そのものが、存在そのものが音楽的なんです。特殊なんです、ワン・アンド・オンリーなんです。たぶん、知ってか知らずかはともかく、この楽器の音色を聞いた事のない方は世の中にいないと思います。もはや、僕らの世界では「ピアノ」や「オルガン」と言うのに近いとすら思います。mini-mooogという楽器の音なのです。(ゆずの楽曲にも沢山使われてるんですよー。)
先ほど、リハを終えて家で食事をしながらふとTVをつけましたら、ミュージックステーションが始まっていました。僕がピアノを弾かせてもらった「I believe」を歌う絢香ちゃんが出ていたので、ぼうっと観ていたのですが、番組の終盤、Coccoさんが出演されましたね。観られた方、いらっしゃいますかね?箸を持つ手はすっかり蝋人形のように固まり、瞬きもせずに見入ってしまいました。
あ、「音楽」が戻ってきた・・・。
これが頭の中で聞こえた、僕の正直な感想でした。詞、曲の素晴らしさは言わずもがな、彼女の声、歌い方、視線、佇まい、動き、そして・・・存在。圧倒的でした。彼女の歌が終わったあと、それ以上もう何も聞きたくなくてTVのヴォリュームを思わず絞ってしまったほどのインパクトでした。彼女そのものが、音楽なんですよね。
さて、まもなく我々音楽を愛する人間にとって、世紀の悪法と言わざるおえない「PSE法」などというものが施行されます。これは存在自体が音楽といえる楽器、例えばmini-moogを(もっともっと沢山の「ヴィンテージ」といわれる愛すべき全ての楽器たちを)古いから、というだけの理由で楽器屋さんで売ったり、買えなくする法律です。
下記、良かったら、ご一読いただければ幸いです。いちミュージシャンとしてのお願いです。
「電気用品安全法(PSE法)に対する署名のお願い」
https://www.jspa.gr.jp/pse/index.cgi
古くても素晴らしい楽器、そしてそれらを使って作られた良き音楽がこの味気無い世の中で、いつまでも輝けますように。