どんな夏のすごし方をしていたんでしょうね。風鈴の音で、ほんとに体感温度が下がる、という話を聞いたことがありますが。
懐かしい写真を一枚。一年前の昨日、7月24日、壁に掛けてある時計によると、午後5時10分。えー、開演時間を過ぎてるようですが、別に僕らが記念写真撮ってて遅くなってたわけじゃないんですよ(笑)。押し(遅れ)は、お客さんの入り具合や動き、各セクションの準備の進み具合を見て、定刻の3~40分前には決まってるものなんです。
「とにかく暑いんで。熱中症を甘くみたら、死ぬんで。」
「水分は喉が渇く前に摂って下さい。そうしないと、死ぬんで。」
「クラクラしたら危険信号です。そこで我慢して倒れたりしたら、もう、手遅れだと思って下さい。そうなったら、絶対に死ぬんで。」
本番3週間前にプロのトレーナーさんがリハーサルスタジオに来ての、暑さ対策、熱中症対策の講釈がありました。メンバー、スタッフ、皆、配られたプリントを手に手に、体育座りをして、真剣な顔で対策を話すトレーナーさんの、「死ぬんで。」の連発を、ドキドキしながら聞いていました。
え?僕ら死ぬの?このスタジアムライブで?
「対策はまず水分補給、そして、もうひとつは」
「もうひとつは?」
「暑さに対する、慣れです。」
そしてその日から、スタジオの冷房が止められました。
ただでさえ、電気楽器や、音響機材、アンプ等はものすごく熱を放ちますから、冬でもスタジオは冷房を入れないと暑いんです。それを、7月に冷房を止めてリハをするなんて、それこそ自殺行為では、と賛否両論が出ましたが、「よし、止めてやろう。」という柑橘系二人組のリーダー、バスケ君が言い放ち、その日から地獄のようなリハーサルが始まりました。
毎日、「おはようございまーす」と、スタジオのドアを開けると、もわ~ん。リハが始まる前から、ものすごい暑さ。そこに30人以上のメンバー、スタッフが所狭しとひしめき合って、丸一日過ごすわけですからね。おまけにあの時は「水ドラム」という演出があって、それもリハーサルからビニール敷いてやったものだから、熱だけじゃなくて、湿気もハンパじゃなかったんです。まさにジャングル、熱帯雨林気候のスタジオです。毎日、着替えを持ってスタジオに行ったのは、後にも先にもあの時だけです(笑)。
そんな中、バスケ君はサウナスーツ着てリハをしてましたね。いったい、どういうことでしょうか(笑)。麦芽くんは時折「いやぁ、暑いっすねー。」とは言うものの、いつもとあまり変わらない様子で普通にタバコをふかしてました。とても我慢強いご様子で(笑)。ぼくらスタドとスタッフは、リハが進むにつれ、だんだん口数が減っていき、毎日リハが終わる合図と同時に、我先にと早足でドアに駆け寄って「ぷはぁ~っ」。まるでサウナみたいでした(笑)。毎日べたべたになりながら、「ライブの前に、これで死ぬんじゃないか」、と思ったくらいです。これが今でも語り草になっている、みんなの体脂肪率が、人生最高のペースで減ったのではないか、という灼熱のリハーサルです(笑)。
そして、いよいよその日がやって参りました。「死にたくはないが、やるだけのことはやった。きっと大丈夫だ。」と、各々やけに軽くなった身体で日産スタジアムに赴きました。(ほんとにね、階段とか、2段飛ばしで走って上がっても、なんでも無かったんですよ。面白いくらいに、身体が軽かった。)ステージドリンクの横には、なんだか名前の判らない「危なくなったら飲んで下さい」というスポーツドリンクまで用意してもらって、いざ、本番!
これがもう。
・・・涼しくて涼しくて(笑)。
気持ちよーい風が吹いててね、汗なんて、熱中症なんて。想像とは真反対の、実に爽やかなライブでした(笑)。ま、それなりに暑かったですけども、リハに比べればなんのそのっ。
でも、早く会場に入ったお客さんは、暑そうでしたね。ピエロさんたちとかもね。ぼくら、楽屋のテレビで見てたんですよ、ずっと(笑)。楽しかったなー、隠しカメラ見てるみたいで(笑)。この記念写真にも、ちゃんと写ってますよ。
あれからもう一年ですね。あっとゆー間。皆さんも、これからの夏本番、しっかり水分摂って、無理せずに。
なめてかかると・・・(怖)。
ではー。