【中国から江戸初期に渡来、ベゴニア類では唯一戸外で越冬】
シュウカイドウ科の多年草で、原産地は中国からマレー半島。貝原益軒の「大和本草」によると、江戸時代の寛永年間(1624~44年)に中国から長崎に渡ってきた。和名は漢名の秋海棠の音読み。薄紅色の花が春に咲く中国原産のハナカイドウ(バラ科)に似て秋に咲くことから、その名が付いた。別名に瓔珞草(ようらくそう)。
晩夏から初秋にかけて、葉の脇から細長い赤みがかった茎を伸ばし、うつむき加減に花をつける。雌雄異花で、先に雄花が咲き、その後に三角錐の子房を付けた雌花が咲く。半日陰の湿った場所を好む。秋の季語。「秋海棠西瓜の色に咲きにけり」(松尾芭蕉)、「病める手の爪美くしや秋海棠」(杉田久女)。
学名の「Begonia evansiana(ベゴニア・エバンシアナ)」から分かるようにベゴニアの仲間で、寒さに強く暖地では野生化している(写真は京都・栂尾の清滝川の土手に咲いていたもの)。関西では大阪府河内長野市の岩湧寺境内とその周辺に大群落がある。京都・大原の三千院や寂光院も見どころ。しっとりと落ち着いた風情が和風庭園にも似合う。花はピンク色が一般的だが、中には白花をつけるものも。花はサラダやゼリーの食材としても使われるという。
シュウカイドウは外来種だが、シュウカイドウ科の植物では国内に自生種が2種ある。コウトウシュウカイドウとマルヤマシュウカイドウで、いずれも八重島諸島の石垣島や西表島などに自生している。このうち白花のコウトウシュウカイドウは環境省のレッドデータブックに絶滅危惧Ⅱ類(絶滅の危険が増大している種)として登録されている。マルヤマシュウカイドウは花が淡いピンク色で、葉に切れ込みが大きいのが特徴。これも準絶滅危惧種に指定されている。