【28日まで、姫石楠花・深山霧島・雪餅草・浦島草……】
奈良市の「富雄南山野草愛好会」(東健会長)が27日から富雄南公民館で山野草展(28日まで)を開いている。展示会を始めて15年目。会員10人が愛情を注いで育てた寄せ植えや単品植えの〝作品〟が会場を埋め尽くしている。
器が小さいだけに、そこに植え込まれた山野草も小さくてかわいいものばかり。ヒメシャクナゲ(姫石楠花、上段の写真㊧)やヒメウツギ(姫空木、同㊨)など「姫」と付く植物も多い。ヒメシャクナゲやコケモモは高山植物だけに栽培がなかなか難しいそうだ。ミヤマキリシマ(深山霧島、下段㊧)も小さいながら今が盛りと紅紫の花を付けていた。(下段㊨はアカネキンバイ)
ユキモチソウ(雪餅草、下の写真㊧)はまるで白熱電球のよう。サトイモ科で近畿や四国地方に自生する。仏炎苞と呼ばれる筒の中の花は真っ白で真ん丸くお餅のように軟らかい手触り。ウラシマソウ(浦島草、写真㊥)もサトイモ科で、花穂の先端から細長いものが伸びる。これを浦島太郎が持つ釣り竿の釣り糸に見立ててこの名が付いた。「蛇草」の別名もあるという。(下の写真㊨はバイカカラマツ)
石に植物を植え付けた〝石付け盆栽〟も多く出展されていたが、その中で葉を勢いよく広げたヤシャ(夜叉)ゼンマイ(下の写真㊧)が目を引いた。愛好会最長老の田中通雄さん(84)によると、5年ほど前、近くで栽培していたヤシャゼンマイの胞子がこの石のコケに付着して大きくなったという。「石付けはいろいろなものが勝手に付いて育つ可能性があるだけにおもしろい」そうだ。(下の写真㊨はベニシタン)