【江戸時代に流行した疫病の身代わりという説も!】
奈良県広陵町三吉の大垣内地区で24日、専光寺(地蔵堂)を中心に地蔵盆の祭り「立山祭」が繰り広げられた。その年に話題になった出来事や活躍した人物などの〝作り物〟を地域住民が力を合わせて製作し、公民館や新築した家、婚礼のあった家などに飾る。今年はNHKの連続テレビ小説「マッサン」やテニス選手「錦織圭」などをテーマに趣向を凝らした作り物が登場した。
立山祭は広陵町指定の無形民俗文化財。祭りの由来については諸説あるという。専光寺のそばに立つ説明板にはこう書かれていた。「江戸時代に流行した疫病の身代わりとして立て始めたとする説や、中世『見立山武士』と呼ばれた士豪細井戸氏が元禄年間に武士の名残を偲んで武者人形を立てたのが始まりとする説などがある」。一時存続が危ぶまれたが、5年前に祭りを継続し盛り上げていこうと地元住民による「大垣内立山保存会」が発足した。
今年の主な作り物は他にNHK大河ドラマの「花燃ゆ」や「アナと雪の女王」「妖怪ウォッチ」「花咲かじいさん」、彦根城のキャラクター「ひこにゃん」など。「マッサン」では竹鶴政孝と妻リタが仲良く寄り添う。「花燃ゆ」では主人公で吉田松陰の妹、文を手前に、室内奥に吉田松陰と久坂玄瑞(文の夫)と高杉晋作を配置していた。「花咲か爺さん」は紙吹雪が舞うなど仕掛けにも工夫していた。
テニスの「錦織圭」は外人選手と打ち合っている場面を再現したもので、モーターによるワイヤの回転によって2人の選手が前後に動く仕組み。電気店や大工などの本業や写真などの趣味を生かしたメンバーたちが寄り集まって、5月の連休明けから製作に取り組んだという。ネットは百均で入手し、観客席のパネル写真はテレビ映像の1カットを拝借して拡大したそうだ。作り物はいずれも手作りの温かさがこもっていた。