【三條雅人著、社会評論社発行】
〝ネット誤植ハンター〟というのが著者三條氏の肩書。情報源は主にインターネットとテレビで、ネットはRSS(更新情報)を大量登録して一気読みし、テレビは録画しチェックしているという。本書には2004年以降に拾い集めた約700の〝珍言葉〟が検索例や件数、「もしかして○○」(正解)とともに収められている。
それらの中から件数が多かった一部の〝珍言葉〟を列挙すると(カッコ内が正解?)――。クレーン射撃(クレー射撃)、割り合いさせていただきます(割愛させて…)、目尻が熱くなった(目頭)、間逆(真逆)、時代交渉(時代考証)、一過言ある(一家言)、コテンパ(こてんぱん)、屈折○年(苦節)、心身代謝(新陳代謝)、源泉たれ流し(源泉かけ流し)、容姿淡麗(容姿端麗)、手持ちぶたさ(手持ちぶさた)、進化が問われる(真価)、先見の目がある(先見の明)
担当直輸入(担当直入)、過分にして知らない(寡聞)、ちんちんかんぷん(ちんぷんかんぷん)、覚醒の感(隔世の感)、そうは問屋が許さない(卸さない)、常道手段(常套手段)、排水の陣(背水の陣)、目に鱗(目から鱗)、心臓から口が…(口から心臓が…)、生活週間病(生活習慣病)、大意はありません(他意)、著作権表記All nights reserved(rights)、人肌脱ぐ(一肌)、CUP NEEDLE(CUP NOODLE)、私服のひととき(至福)、禁煙可(喫煙可)
著者は「私はこの本を、言葉を知らない人を笑う為に書いたわけではありません」と強調する。本書によってネット上に変換ミスや勘違い、うろ覚えなどによる間違いがいかに多いか、改めて思い知らされるとともに他山の石としなければ、との思いも強くした。ただ言葉は生きている。古語が消える一方で新語が次々と生まれる。著者もあとがきにこう記す。「変な言葉を使って笑われている人達は、もしかしたら新しい言葉を先取りしている人達なのかもしれません。そして、それらの言葉は何年後かに……国語辞典に載るかもしれません」。