く~にゃん雑記帳

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<春日大社国宝殿> 春季特別展「Enjoy 鎧」再開

2020年06月14日 | 美術

【国宝の甲冑、籠手、太刀、梓弓……】

 臨時休館中だった「春日大社国宝殿」が営業を再開し、春季特別展「Enjoy 鎧 日本一の鎧を楽しむ」で再び日本を代表する華麗な甲冑や武器武具などを堪能できるようになった。会期は当初3月14日~7月12日の予定だったが、この間新型コロナウイルス感染予防のため約2カ月休館したため、9月23日まで延長されることになった(7月13日は展示替えのため休館)。

  

 春日大社は国内有数の〝宝庫〟で、国宝354点を中心に多数の文化財を所蔵する。その中には甲冑屈指の名品といわれる「赤糸威(あかいとおどし)大鎧」2領(竹虎雀飾と梅鶯飾)など国宝の甲冑5点、平安以降の時代を代表する国宝の太刀8件25点も含まれる。多くが武運長久を願う武士が奉納したもので、武士たちの春日大社への篤い崇敬の念を物語る。

 展示中の甲冑「赤糸威大鎧(梅鶯飾)」は竹虎雀飾と同様鎌倉時代のもので、花や昆虫などの精緻な飾り金物が実に美しい。威糸(おどしいと)は元々紅花染めで真紅だったが、退色して黄色くなったという。兜の正面中央には威嚇的な形相の獅噛(しかみ)の飾り。国宝「黒韋威(くろかわおどし)矢筈札(やはずざね)胴丸」は南北朝時代の作で楠木正成の奉納と伝わる。体を丸く覆う胴丸に大袖と冑(かぶと)が付いた〝三物皆具(みつものかいぐ)〟の初期の傑作。「黒韋威胴丸」も伝楠木正成奉納で、2016年に重要文化財から国宝に格上げとなった。

 国宝「籠手(こて)」は手と腕を守る防具。手甲部分には一面に菊と波の透かし彫り、その上にアゲハチョウをかたどった金属の彫り物を据えた華麗なもの。源義経が吉野に落ち延びる際に形見として残したという言い伝えがあり〝義経こて〟と呼ばれている。国宝では他に足利義満の奉納と伝わる「金装花押散兵庫鎖太刀」(備前長船兼光作)と平安時代の「梓弓」も展示されている。

 甲冑類では奈良県立美術館蔵の桃山~江戸時代のものや、甲冑師小澤正実氏(1953~)が製作した冑、古式大袖模造、鎧金具製作見本なども展示中。小澤氏は1998年に甲冑修理で国選定保存技術保持者に選ばれ、これまでに春日大社が所蔵する国宝の甲冑などの修理を手掛けてきた。4年前に重文から国宝になった「黒韋威胴丸」も、小澤氏が修理する過程で当初の部材がほぼ完全な形で残っていることが判明、文化財的な価値がより高く評価されて指定替えにつながった。

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