【エンゼルスの大谷翔平選手も!】
奈良県高取町で秋恒例のイベント「高取かかし祭り」が開かれている。2009年にスタートし今年で14回目。近鉄吉野線壺阪山駅前から、緩やかな上りの石畳が続く土佐街道沿い50カ所に約200体の町民手作りのかかしが並ぶ。今年は米大リーグで“二刀流”として活躍するエンゼルス大谷翔平選手のかかしも登場し、見物客の人気を集めている。
土佐街道は日本三大山城の一つ高取城(1873年廃城)に続く旧城下町のメーン道路。今でも虫籠(むしこ)窓や連子格子(れんじこうし)などを持つ古い町家が多く残り、情緒ある町並みをつくっている。大谷選手のかかしは街道脇に鎮座する高取恵美須神社内にあった。大谷選手の横にはイチロー選手。右手を肩に掛けているのは通訳の水原一平さんだろう。 大谷の足元には黒字で「ベーブ・ルースを超えた」、赤い大文字で「やったぜ大谷君!!」。その下にはホームラン「35号」、勝利投手「15勝」の紙が貼られていた。3日現在の実際のホームラン数は34本だが、期待を込めての「プラス1本」か。
メーン会場は「街の駅城跡(きせき)」内のイベント会場。ここは春恒例の「町家の雛めぐり」のメーン会場にもなっている。昨年のテーマは「東京五輪」、その前に訪れた2015年のときは「薬の街」だったが、今年は「ザ・スモールワールド」。巨大な雛壇には世界各国の子どものかかしや様々なミニチュアで飾られていた。鉄道ジオラマなどもあった。
このかかし祭りの特徴の一つが、普段の暮らしを切り取ったような場面がかかしで再現されていること。祭りの縁日の屋台や縁石でくつろぐご夫婦、サッカーの練習に出かける子どもたち……。壺阪山駅の駅頭では祭りの案内マップを置いた机の周りで3体のかかしが出迎えてくれた。そばには「マスク着用 お願い致します」と大書した看板。街道沿いの一角には子ども向けのかかしの「迷路」も造られていた。
ちなみに土佐街道という名前は古い時代の四国・土佐の国名に因む。「上土佐」「下土佐」という町名も残っている。街道沿いの立て札に「土佐町由来」としてこう書かれていた。「六世紀の始め頃、大和朝廷の都造りの労役で故里土佐国を離れこの地に召し出されたものの、任務を終え帰郷するときには朝廷の援助なく帰郷がかなわず、この地に住み着いたところから土佐と名付けられたと思われる……」。文末にはこんな歌一首も。「望郷の想ひむなしく役夫らのせめて準(なぞら)う土佐てふその名」。その立て札のそばに、たこ焼き屋などのかかしが並んでいた。10月31日まで。