【日本海側に分布するタジマタムラソウの変種】
シソ科アキギリ属(サルビア属)の多年草。自生地は福井県南部の今庄町や敦賀市、美浜町、三方町、小浜市など狭い地域に限られる。京都府北部や兵庫県北部など日本海側の山地に分布する「タジマ(但馬)タムラソウ」の変種。福井県は絶滅の危険が増大しているとして、レッドデータブックで絶滅危惧Ⅱ類に指定している。
草丈は20~30㎝ほど。花茎の先に赤紫色の唇形花を多く付ける。葉は地に這うように横に伸びる根茎に沿って広がる。学名は「Salvia omerocalyx(サルビア・オメロカリス)var.prostrata(プロストラータ)」。属名サルビアの語源は「安全」や「無傷」を意味するラテン語。種小名の後の「var.」はバラエティーの略で「変種」を表す。変種名のプロストラータは「平臥」や「横に這う」を意味する。
サルビア属は中南米や地中海沿岸地方を中心に世界に900種以上あり、日本では観賞用を「○○サルビア」、ハーブ用を「○○セージ」と呼んで使い分けている。日本原産のサルビア属はアキノタムラソウ、ハルノタムラソウ、ナツノタムラソウ、シマジタムラソウ、キバナアサギリなど10種ほど。このうちハルノタムラソウの学名は「S.ranzaniana(ランザニアーナ)」。植物学者牧野富太郎が敬愛する江戸時代の本草学者小野蘭山の名前を織り込んで命名した。